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PFFディレクターBLOGRSS

2010/04/26 17:58:50

招待作品部門は欲張り企画になりそうです

kabuki-za01.jpg歌舞伎座建てかえに伴うさよなら公演が間もなく幕を閉じます。新しい歌舞伎座はどんな建築になるのか、期待が高まります。
四月興行千秋楽のチケットは疾風のように完売し、他の日もあっという間に売り切れて、幸運にもとれたチケットを眺めて「絶対行かなくちゃ!」と殆ど仕事のように通いました。(「入っててよかった歌舞伎会」としみじみしました)
有り得ない豪華キャストに、豪奢な衣装、著名な演目、と、濃厚なさよなら公演が続きます。
その昔は、衣装やセットの意匠にばかり眼がいった私ですが、近年では、かなしき職業病が嵩じて「うわ!楽屋の采配大変そう・・・」とか「香盤表つくるの大仕事」とか、「さよなら公演あと、のお客様の継続動員企画って、プレッシャーだろうなあ・・・」とか、裏方の苦労ばかり考えて、さっぱりいけません。
自分の仕事の定まらない、まだ何も考えなくていいときに、文化、芸術、エンターテインメントを浴びるのが一番楽しいなあと、改めて確認です。
この一年のさよなら公演の全てを拝見したわけではありませんが、先月からお客様の熱気がぐんと高まり、初体験の方がどっと増え(特に女性)ている感触があります。そんな中で、開演前のざわめきや、興奮がまるでコンサート会場のようで忘れ難いのが、宮藤官九郎さんの書き下ろした『大江戸りびんぐでっど』(09年12月)だった印象があります。

kabuki-za02.jpgざわめきや、興奮をもたらす企画。大切だなと思います。
人の心を波立たせる、平常でない心理状態にさせる、何かの棘を残す、瑕を残す。作品はそんな力が必要だなと("瑕"も"棘"もネガティブに使われやすく使うのが難しいですが)近年改めて思います。
本年、第32回のPFFは、招待作品部門でも、そんな作品を紹介していきたいと思います。
詳細は、HPにて5月中旬発表を予定していますが、本年は20世紀のPFFのように、多彩な企画を予定しています。邦画は、秋公開作品の新作プレミア上映、若松孝二特集、短編映画について考える特別企画を展開します。海外からは、韓国とアメリカの作品を紹介する予定です。
GWには、おおよそのラインナップをひとあし早くここでご紹介できることを目標にしています。
コンペティション部門の「PFFアワード」とあわせて、映画祭上映を是非体験していただきたいと願っています。

そしてもうひとつお知らせです。
明後日、28日水曜日から、渋谷TSUTAYAのPFFコーナーのラインナップが変ります。
6月までの二ヶ月間、3人の映画監督が、「悩んだ時に観る映画」を告白します。
映画に、人生に効く映画が16本&過去のPFFアワード入選作品も揃います。悩んだ時に是非役立てて欲しいと思います。告白するのは、塚本晋也監督、深川栄洋監督、石井裕也監督です。お楽しみに!

*余談ですが、日本一の名女優とはこの人のことではと、さよなら公演で目撃するたびに改めて感じさせられたのが坂東玉三郎さんでした。息をのみます。

2010/04/13 16:55:32

座頭市とか時代劇とか

阪本順次監督の『座頭市 THE LAST』の公開が来月に迫ってきました。
劇場公開時に拝見したいと考えていますので未見なのですが、今回、「最後の座頭市」を演じる香取真悟さんに「PFFアワード2008」の最終審査員を務めていただいた際、その真摯な仕事に感じ入ったこともあり、期待が高まっています。

90年代から、時代劇や時代小説にかなり親しんでいる私ですが、ティーンネイジャーの頃に興味があったか?と問われれば、ぜんぜんなかった気がします。けれども、そんな年頃でも、魅かれてやまない方は沢山おられるでしょう。
jidaigekiha-sinazu.jpgたとえば、最近相次いで出版された、春日太一さんによる『時代劇は死なず!京都太秦の「職人」たち』と『天才 勝新太郎』は、77年生まれの著者、春日さんがまだ小さな子供だったころに活躍された方々を、丹念に取材した労作です。学生時代から時代劇を研究していたという春日さん。きっと少数派の学生だったことでしょう。おかげで、嬉しい本を読むことができました。
jidaigeki-gensaku.jpgまた、時代劇映画のガイドブックとして、素晴らしい本もあります。
様々な時代小説の編者として著名な細谷正充さんの編纂された『時代劇原作選集~あの名画を生み出した傑作小説~』です。過去に色々な人に薦められて観た映画が網羅されていたことにまず感動。そのうえ、原作と映画の違いも一目瞭然。二弾三弾と編纂していただきたくなるのです。2003年に編まれた本ですので、現在では紹介されているソフトの入手が容易ではないかもしれませんが、一体どの映画から観ればいいのか迷われたら、是非お薦めしたい本です。

miwotsukushi.jpg時代小説では、新世代の登場が盛んですが、ベストセラーとなっている高田都さんの『みをつくし料理帖』シリーズ3冊は読み出したら止まりません。心と体に沁みる料理と人情の物語ですが、「人情」となると時代設定を江戸時代にするのが一番しっくりくるのかなあ・・・と改めて考えます。現代を舞台に、人情物語は成立しないのか?物語をつくる仕事に携わる人々にとって、これは大きな課題。

現在の料理にまつわる人情話、を考えていると、小説ではありませんが、魚柄仁之助さんの『世渡りの技術』のあとがき。それから、久住昌之さんの『野武士のグルメ』からいくつか。を思い出しました。昨年出版された本からは、これらが強く印象に残っています。

adabore.jpgところで、時代小説の書き手には、かつて脚本家をなさっていた方や、監督だった方など、映画にまつわる方々も多くおられるのですが、日本映画監督協会の事務局におられた河治さんも時代小説家として活躍しておられます。最近は歌川国芳一門を主役に置いたシリーズ『国芳一門浮世絵草紙』が楽しみなのですが、丁度今、府中の市立美術館で、膨大な数を揃えた国芳の展覧会が開催されています。国芳の絵を見てから河治さんの小説を読むと、更に楽しいかも知れません。

今日はちょっと現実逃避して時代劇のことを考えてしましいました。
来週にはPFF32回めのプログラムを固めるべく、鋭意調整中です。


『座頭市 THE LAST』
5月29日(土)ロードショー

2010/04/02 18:32:18

第32回ぴあフィルムフェスティバルいよいよ始動します

木村威夫さんが突然亡くなり、その膨大な資料を引き継いでいく人たちのことを考えていました。
日本で最も細部に渡って、日本人の生活の足跡を美術の資料として集め続けておられた方です。
PFFでは、1994年に最終審査員をお願いし、その後も幾度かお目にかかる機会に恵まれました。
つい一週間前には、所沢のイベントで上映した『人のセックスを笑うな』の美術について井口監督とお話し、木村さんの"神の降りてくる"お仕事について伺ったばかりでした。
残念です。
dragon.jpg香港国際映画祭で、ブルース・リー特集もあったことはご紹介しましたが、時間があわず、たった一本だけスクリーンで観ることができました。『ドラゴン怒りの鉄拳』。東映映画、日活映画の影響が爆発する画面にうっとりで、木村威夫さんの仕事はじめ、日本の映画美術に憧れたスタッフが香港にも沢山いたことは間違いないことを考えていたときの訃報でした。

木村さんもそうですが、20世紀の前半、大きな戦争の前に生まれ、青春時代を過ごされた方々の創作に打たれることが多いことは、多くの方が感じていることだと思います。
本年はそんな体験のビッグチャンスがひとつあります。
kurosawabook01.jpgkurosawabook02.jpg黒澤明監督の生誕100年。
スクリーンで上映される機会が実はあまりない黒澤明作品ですが、今年は増えます。小林信彦さんの「黒澤明という時代」と、文庫化された脚本家・橋本忍さんの「複眼の映像」を読んでからスクリーンで黒澤映画を観れば、映画学校に行かなくても大丈夫。映画がとてもよくわかります。
ほんとです。
是非多くの方にこうして大画面の黒澤体験をしてもらいたいと思っています。

さて、発見の多かった今年の香港国際映画祭ですが、コンペの受賞がやはり多かった中国の自主映画の動きは、どうしても無視できません。
奥原監督からも少しお話を伺った中国の自主映画製作ついては、また改めてご紹介したいと思っています。
帰国してから、一番大切なのは、勿論第32回ぴあフィルムフェスティバルの準備です。
まず、コンペティション部門「PFFアワード2010」の入選発表を、4月9日に予定しています。
その後、5月中旬には、映画祭の全貌を発表する計画です。
今年は、我ながらかなり多彩な映画祭になりそうです。どうか"映画祭貯金"の開始をお願いします。後悔させない2週間を約束します。
ほんとです。

あ、最後に、香港でのお薦めのレストランは、ノースポイントの市場の2階にある「東寶」と、ジョーダン駅の近くにある「新斗記」。「東寶」には、フルーツ・チャン監督の『花火降る午後』を観てから出かけられることをお薦めします。出演者の経営するお店です。創作料理も多い活気溢れる味です。「新斗記」は、かつて映画関係者のたまり場だった伝説の店「新兜記」の突然の閉店に、その味を惜しむファンたちの呼びかけで、音は同じまま文字を変えて新にスタートしたお店です。子豚のローストが絶品です。

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