

| 作品名 | 監督名 | 作品名 | 監督名 |
|---|---|---|---|
| 『お前にゆわれる筋合いはない!』 | 小澤 健 | 『友達に逢う列車』 | 武居 徹 |
| 『ガードレール』 | 浅野敦也 | 『ナンマイダブ』 | 吉永健司 |
| HITACHI賞(ビデオ作品賞) 『君はサルじゃない』 |
木下達哉 | 日本船舶振興会賞(キャスティング賞)、シャンテ賞(観客賞) 『ピクニック』 |
奥原浩志 |
| 『クール・バナナ』 | 小村幸司 | 審査員特別賞 『PICKLED PUNK』 |
山岡秀雄 |
| 『くろこげ』 | 富永 舞(富永まい) | WOWOW賞(撮影賞) 『ひまわりのテーマ』 |
西出直澄 |
| 優秀作品賞 『五月雨厨房』 |
中村義洋 | 『母音』 | 北川敏徳 |
| 『萎れかけた春のために』 | 杉浦昭嘉 | 佐藤工業賞(美術賞) 『HORROR日記』 |
ブラッと石井&ハッチ |
| グランプリ 『ストレンジ ハイ』 |
水戸英樹 | 『リハビリテーション』 | 渋谷のりこ |
| 『全滅野球軍』 | 山本 拓 | 『列車ノトビラゴシニメヲアわせるヒト人へ』 | 夏目 現 |
応募総数 469本 入選 18本

偽善、偽悪、許すまじ。“一本筋とおる”が今日も行く!
最後に言い負かしたほうが結局、勝ちなの?理屈と屁理屈の違いって何?世の中、わからないことばかりだけど、具体例は腐るほどあふれている。だから手当たり次第、この世の悪や、まやかしを処理しようと、1人の男が立ち上がった。彼の名は一本筋とおる。本名なんて気にするな!
「正義の味方というキャラクターを中心に、彼の仕事ぶりやインタビュー、彼のつくった映画の紹介などをつなげてフィクションの文法で作ったドキュメンタリー」とは監督のコメント。途中CMも入る破天荒さと真面目さが過激にミックスされた超ヒーロー映画。
1993年/S-VHS/カラー&モノクロ/26分
監督・制作・脚本・編集:小澤 健
撮影:小野寺珠美、永江こうじ、上原和人、水越しんじ、小澤 健 美術:小澤 健、永江こうじ
出演:永江こうじ、水越しんじ、小野寺珠美

彼女にだけ聞こえる音、僕にだけ見える彼女。
大学で心理学を専攻する真紀(まさき)は、ある晩、ガードレールの脇にしゃがみこんでいる少女と出会う。「ガードレールの音を聞いているの」と言う彼女を、真紀は心の病を持った患者として彼女に興味を持ち、彼女に聞こえるという音の物語を分析をするようになる。しかし、真紀の話を聞いて様子を見に来た友人には、少女の姿は見えないのだった。少女が記憶を取り戻す頃、真紀にも彼女の正体がわかってきたが…。
幽霊とのラブストーリーという設定を、音の物語と精神分析というエピソードを織り込むことで、シリアスなサイキック・ファンタジーに仕上げることに成功。幽霊役・秋山恭子のはかなさが一層の説得力を加えている。
1993年/8ミリ/カラー/60分
監督・脚本・撮影・美術:浅野敦也
出演:東海林 宏、秋山恭子、梶原英輔

友達が突然、サルに、なった。
それは春休みのある日、みんなで集まって始めたいつものトランプゲームだった。ただ、なぜか滝沢だけが負け続けた。罰としてウィスキーの一気飲みをさせられていた彼は、おもちゃのサルのマスクをかぶった途端、本物のサルと化してしまう。サルの滝沢と暮らすことになった木下は、何とか彼を人間に戻そうとするが成果は上がらない。そして滝沢がサルのまま新学期が始まってしまい、焦った木下は最後の手段に出るのだった…。
「人間のアイデンティティとは?」という一大テーマを、極日常的な風景とマンガチックな設定に違和感なく溶け込ませたセンスは秀逸。観客は一見バカバカしい笑いの中で、気がつくと感動している自分を発見するはず。
1993年/VHS/カラー/40分
監督・制作・脚本:木下達哉
撮影:筑城貴彦 編集:筑城貴彦、木下達哉 音楽:中西裕之 美術:堀田真紀
出演:滝沢 涼、木下達哉、田渕 務

いまわの際におばあちゃんは言った。「…バナナ」
吉本家の親戚一同が久々に本家に集まった。おばあちゃんが危篤になったのだ。みんなが枕元で見守る中、彼女はつぶやいた。「…バナナ」。おばあちゃんはそんなにバナナが食べたいのか。孫が走る。彼が苦労して手に入れた一箱のバナナ、その一本一本がもぎとられ、親戚それぞれの口に運ばれるたび、小さなドラマの断片が浮かび上がる。
最後にバナナが食べたい――。奇抜でコミカルなこの設定は、監督が以前、ある雑誌で読んだ実話なのだそう。親戚が集まった時に交わされる男同士、嫁同士、孫同士の会話は、誰もが見に覚えのあるステレオタイプなもの。そのつまらなさが逆に、生と死のコントラストを描き出す結果となっている。
1993年/Hi-8/カラー/10分
監督・制作・脚本・編集:小村幸司
撮影:朝倉浩貴 録音:渡辺 融 助監督:菅野宏彰、倉田健次
出演:照井康政、藤原常吉、川島祐子

ニュースの中の殺人犯に恋した女。
古ぼけたアパートに住む若い女性が、女子大生殺人犯として指名手配され、連日ニュースで報道される男に恋してしまった。彼の報道写真をスクラップし、街角の指名手配ポスターに話しかける彼女。しかし、密やかな幸せは長くは続かず、「逃げて」という彼女の願いもむなしく、男が逮捕される日がやってきた。ニュースを聞きながら、泣く彼女の部屋に風が吹き、そこに残されたのは…。
ラストに意外な展開が待つ、悲しいファンタジック・ラブストーリー。女性が部屋でつねにかけているアイロン、その洗濯物は、彼女の男への気持ちの象徴だが、色は白であるために、増えれば増えるほど、彼女の気持ちの純粋さを演出する効果となった。
1992年/16ミリ/カラー/11分
監督・脚本:富永 舞
制作:室伏敦子 助監督:伊藤 綾 撮影:歌川恵子、上岡文枝 編集:上岡文枝、室伏敦子 録音:内野 徹、山藤美穂 美術:清水真理
出演:川口朋子、山藤直考、庄山 晃
| 1994年 | クリテール国際映画祭 | (フランス) |

店長タオレタ、明日、店ナイカ。
開店を明日に控えた小さな中華料理店。見習いコックのリーさんが料理を作り、若い店員・兼松は手書きでメニューを書いている。着々と準備が進んでいるように見えたその時、店長が倒れた。病院に付き添って行った先輩店員からの電話を待ちながら、切れた蛍光灯の下で、兼松はメニューを黙々と書き続ける。そんな時鳴った電話は「店長は今夜がヤマ」と伝えるものだった。そして夜が明け…。
ほんの一夜、ほとんど厨房の中だけというミニマムな時間と空間の中で、登場人物それぞれのキャラクター、そしてお互いの間にある穏やかなつながりをも感じさせる脚本と演出の力量は高い。ワンシーンワンシーンの絵の力強さにも注目してほしい。
1993年、8ミリ、カラー、17分
監督・脚本:中村義洋
制作:為永佐知男 撮影:鈴木謙一 照明:佐藤良二 助監督:高野信市 撮影助手:神谷 仁 照明助手:村田雄一
出演:鈴木智則、正地敦美、細川 徹
| 1994年 | 香港国際映画祭 | (香港) |

孤独にあこがれる男は泣く、孤独な女は笑う。
安泰だが平凡な日々に嫌気がさし、会社を無断欠勤した若い1人のサラリーマン。彼はかつて遊んだことのある女性・のり子に気まぐれに電話をし、風邪で寝ている彼女の看病に行く。明るく無邪気なのり子に彼は、妻にも話していない日頃の鬱憤、社会への不満を話し出すのだったが…。
杉浦監督が、魅力的なキャラクターづくりに腐心して作ったという作品。明確な不満はなくても、このままでは社会に取り込まれ、つまらないサラリーマンになってしまうという、現代人の大半が一度は感じる不燃焼感覚を、練り込んだ会話やUFOキャッチャーに託して描く。
1993年/8ミリ/カラー/94分
監督・制作・脚本・撮影・音楽・美術・照明:杉浦昭嘉
出演:菅野敬子、三堀広一郎、新井優子

アイツは死んでも、ボクにつきまとう
気弱な安藤はふとしたことから、陰気なクラスメートの荒井に、してもいない約束を破ったと執拗に責められるようになった。「今度は必ず来い」と映画のチケットを押しつけられるが、安藤は拒否。その約束の日の翌日、訪ねてきた刑事によって荒井が自殺したことを知らされる。その日から、死んだはずの荒井が安藤の生活を乱し始める。
普通の人が最も恐れる“少し変な人”、そして“人から少し変だと噂されること”の2つの不安を、手際良いエピソードの積み重ねで見せていく。しかし、死んでからイキイキしてくる荒井をはじめ、サイコぎりぎりのユーモアが、おかしさと怖さの間を行き来する不思議な味わいを残す。
1993年/8ミリ/カラー/60分
監督・脚本・編集:水戸英樹
制作:国松正義 音楽:ジョーダウン 美術:山田めぐむ
出演:井鳥秀之、水戸英樹、ほりかわしげとし

走れ、ホームベース目指して。街を越え、敵を倒して。
未来の野球は、野球用に強化されたサイボーグが命を賭けて戦う殺人ゲームになっていた。人間が見捨てた都市で、今日も街全体をグラウンドと見立てたゲームが行われている。裏切り者と、立ちはだかる相手チームの選手達を文字通り倒し、殺された同じチームの選手の死骸を横に見ながら、彼は走る。ホームベース目指して。
何人殺しても、誰が殺されても、サイボーグ選手は叫ばず、涙を流さない。いや、人工まぶたの裏に流れる涙を、人工ののどの奥に生まれた叫びを、彼はただ隠しているだけなのかもしれない。ホームを踏めという使命を全うするために。そこにはまさに「近未来野球ハードボイルド」と呼べるスタイルがある。
1993年/8ミリ/カラー/10分
監督・制作・撮影・編集・音楽・美術:山本 拓
脚本:山本 拓、棟方 厳、牧 誠司
出演:牧 誠司、棟方 厳、山本 拓
| 1994年 | 香港国際映画祭 | (香港) |

日々是平穏。
2人暮らしの老夫婦がいる。夫は細々とであるがまだ働き、妻も元気に家事をこなす。お互いの好みを知り尽くした食事をし、テレビを見ながら少し話す。淡々とした2人の生活を静かに綴った映画。
田舎町の夏の風景を交えながら、ドキュメンタリーのように一組の老夫婦の姿を丁寧に追ったカメラの視線は、無口だが優しい。そして時々、照れるような仕種と表情を見せる2人に、逆に、カメラ(を持つ人間)との距離の近さを感じる。老人はただ立っているだけでも充分、絵になる被写体だが、この作品には演出なのか自然体なのかわからない、独特のリズムが流れている。
1992年/8ミリ/カラー/33分
監督・脚本・撮影・美術・照明:武居 徹
製作:法政大学シネマ・オリジナル・メンバーズ

あのオバチャン、またナンマイダブ唱えとるで!
友達もなく、家族との会話もない高校生のミチコは、1人でよく川原に行く。そこには、高校を中退して工場で働いている幼なじみのユキオ、悪ガキ2人組み、食べると死ぬと言われているその川の魚を釣るオッチャン、川に向かって「ナンマイダブ」を唱え続けるオバチャンなどがいた。ある日、オッチャンの姿が見えず、悪ガキたちはミチコに「釣った魚を食べて死んだ」と告げるのだった。
画面に登場しない人物のキャラクターや、ミチコやユキオかいずれは変なオバチャンとオッチャンになることさえ想像させる奥行きのある演出が際立つ。また、微妙な質感のモノクロの画面が、乱暴だが軽妙なセリフを、さらに味わい深いものにしている。
1993年/8ミリ/モノクロ/11分
監督・脚本・撮影・編集:吉永健司
製作:にこにこ企画
出演:篠原雅美、小椋卓麿、坂本さやか

楽しかった3人のピクニック、いつまでも続くと思っていた。
プロのミュージシャンを目指しながらも、気楽な毎日を過ごす2人の兄弟。彼らのアパートの隣室に1人の若い女性が越してくる。やがて3人は意気投合し、彼女は兄弟のバンドで歌うようになる。しかし、それぞれの心に微妙な感情が生まれた時、兄は1人どこかへ去って行く。
登場人物の服から彼らの横にあるお菓子、ロケーション場所、拾ってきた本にいたるまで、豊かに統一されたセンスあふれる作品。たぶん監督の単なる趣味だろうが、画面に映る時、それは美意識と呼べるものとなり、贅沢な感性の映画作家の出現を感じさせる。一見たわいのないセリフもまた、本音を言わない世代の心象風景をよく捉えている。
1993年/8ミリ/カラー/70分
監督・脚本・編集:奥原浩志
制作:奥原浩志、島貫 徹 撮影:島貫 徹 音楽:倉茂徳弘、近藤太郎
出演:桜井理子、近藤太郎、奥原浩志

今度は自分の死にざまを2万通り考えてみようと思います。
双子の片割れを腹に持つ男は「出してくれ」という弟の叫びに突き動かされるように、日常から逸脱する旅に出る。その彼を追い、自分もまた「留守番電話に何も入っていない毎日」から解放される旅に出る女。2人に巻き込まれる不運なサラリーマンと、ドッグフードが好物のカメラマン。彼らは、覚めては続く悪夢のように、出会っては別れ、別れてはまた出会う。そして最後に残るのは…。
起承転結や一切の説明を無視した、しかし魅力的なストーリー。そのストーリーを、断片的な映像とモノローグだけで見せる冷たいスピード感は、意味を追う観客を振り払うよう。凝った小道具やロケーションはないのに世紀末を感じさせる、精神的パンクな作品。
1993年/16ミリ/カラー/82分
監督・脚本・美術:山岡秀雄
制作:雄田哲行 撮影:澤井貴善 編集:山岡秀雄、田原英子 音楽:プリン爆発プリン
出演:町田知子、田中信也、川島光顕
| 1994年 | ベルリン国際映画祭 ヤング・フォーラム部門 |
(ドイツ) |
| 香港国際映画祭 | (香港) | |
| バレンシア映画祭 | (スペイン) | |
| ヴィエンナーレ国際映画祭 | (オーストリア) | |
| ストックホルム映画祭 | (スウェーデン) | |
| 1995年 | ザ・ナイト・フィルム映画祭 | (デンマーク) |
| 1996年 | 香港アートセンター | (香港) |

新しい恋を始めるために、もう一度、やり直したい恋がある。
ある日、枯れたひまわりの花とともに、別れたはずの彼女・りほが戻って来た。戸惑いつつ彼女を受け入れる裕二だったが、りほばかりか友人達にも2人が別れた記憶はないらしい。しかもそれから、デジャブのような出来事が裕二のまわりに起こり始める。混乱する裕二が真実に気付く頃、ひまわりの花が瑞々しく咲いていた。
“もっと大切にしたかった恋”をやり直すことで、次の恋愛のステップを登っていく主人公の足取りを、現在→過去→現在という時間の流れの中で描くライト・コメディ。なかなか言うことをきかない主人公の愛車を含め、脇役のキャラクターに監督のセンスと遊びが感じられる。
1992年/16ミリ/カラー/38分
監督・脚本・編集・美術:西出直澄
制作:石見哲紀 撮影:指田直喜 音楽:米良典孝
出演:西之園裕二、山下香世子、平野英俊

黒ってどんな色?白ってどんな色?
生まれた時から目が見えない秀男は、妻・いずみにランボーの「母音」という詩を朗読してもらうのが好きだ。目の手術をし、3日後に包帯が取れるという日も、高まる期待と不安の中で、彼はいずみに詩をせがむ。
「アーは黒、ウーは白、エーは赤…」で始まるランボーの詩が出発点だったというこの作品は、絵画の説明をする、ビデオを見る、ジョギングをするなど、日常生活の中での「見えること」を確認していく。そして次第に、「目の見える」観客にも、空にかかる電線や夜の自動販売機など、何の変哲もない風景が美しく見えてくる。「本当に見える」のは「見ようとする意志」が働くからだというように。
1992年/8ミリ/カラー/36分
監督・制作・脚本・撮影・編集・美術:北川敏徳
音楽:佐野耕
出演:佐野 耕、大星優美子、日能 舞

見たもの聞いたもの、みんなホラーのおもちゃ箱。
光の洪水のように、キラキラと途切れなく続く映像のコラージュ。隙間なくリズミカルに繰り広げられるその映像は、つくり込んだ小道具から何でもない部屋の風景まで、1つのイメージを保ち続けている。ストーリーらしきものもあることはあるが、それよりも、自然に浮かび上がってくるのは、死や夜の匂い。しかもその匂いは暗さ、怖さばかりではなく、子供が考えついたいたずらを実行に移しているような無邪気さがある。そのあたりはさすがに、参考文献としてフランク・ザッパの「ランピー・グレイピー」を挙げているセンスの持ち主だからか。また、オリジナルの音楽も、光の粒子のささやきのように耳に届き、心地よい。
1993年/VHS/カラー/30分
監督:ブラッと石井&ハッチ
制作・絵コンテ・編集・美術:井川 基 撮影:井川 基、桜井英行、羽川幸一 音楽:井川 久、小林好郎、乙部将章
出演:桜井英行、羽川幸一、井川 基

大嫌いだけど大切な、自分のトラウマのために。
幼い頃、性的暴力を受けていた男がいる。彼は、気がつくと目の前に現れて当時を思い出させる、もう1人の自分の存在に悩まされている。力づくで抑えようとしても抑えきれないその少年を男は憎むが、完全には憎みきれない。少年はそんな男を無言で慕う。そして2人はやがて、隙あらば好奇の目を向けようとする世の中で、共存して生きていくことを決意する。
あちこちに隠されている心理学上の記号は、単に意味を読み取らせるレトリックとしてだけでなく、映像としても充分に美しく印象的で、必然性から生まれる切なささえ感じさせる。また、人物の顔をはっきり見せない点が、夢の中の情景のような効果ももたらしている。
1993年/8ミリ/カラー/15分
監督・制作・脚本・編集:渋谷のりこ
撮影:中野貴大 録音:藤本拓也 美術:須賀穣介 音楽:金子雄樹
出演:宮崎達生、渋谷智之

列車に乗り合わせた人を殴りたくなったこと、ありますか。
「世の中には、正しいことも正しい人も存在しない」、それを理解しながらも、「世の中には、正しくないことや正しくない人が多過ぎる」ことにこだわってしまう少年・砂雄。列車という、世の中の縮図である密室の中で、砂雄が遭遇するいくつもの場面は、彼の幻影なのか、現実なのか。砂雄を追うもう1人の少年は、砂雄が生み出した幻か、それとも世の中の分身なのか。
誰にでもある“同じ車両に乗り合わせてしまった、うるさい女、偉そうな男を思い切り殴れたら…”という妄想を、内に弱さを抱えた少年を通して表現する、瞬間的空間映画。ゲリラ的に行われたであろう列車内での撮影が、まさに列車が走り抜ける速度を感じさせる。
1993年/16ミリ/カラー&モノクロ/9分
監督・脚本:夏目 現
制作:内野 徹 撮影:村上なほ、山藤みほ 編集:夏目 現、山岡文枝 音楽:夏目 現(MUSK)、歌川恵子(SE) 美術:山藤みほ
出演:内野 徹、佐藤正幸、内野久子
| 1994年 | 香港国際映画祭 | (香港) |