

| 作品名 | 監督名 | 作品名 | 監督名 |
|---|---|---|---|
| 『曖昧扉の向う側』 | 松永晃一 | 『友だち以上恋びと未満』 | 黒岩利之 |
| 最優秀撮影賞 『うしろの正面』 |
具志堅 剛 | 最優秀短編賞 『葱』 |
三上昌晴 |
| 『EXIT』 | 勝然武美 | グランプリ 『花』 |
小池 隆 |
| 観客審査員賞 『俺たちの青春!!episode4/いつわりの冬』 |
小山紀之 | 『不安の惑星』 | 宮本祐介 |
| 『かっぱ』 | 大沢克哉 | 『平成元年の初夏』 | 佐分克敏 |
| 『子供の頃戦争があった』 | 秀島康夫 | グランプリ、最優秀女優賞 『夕辺の秘密』 |
橋口亮輔 |
| グランプリ 『三角測量』 |
北山裕章 | 最優秀16ミリ賞、最優秀男優賞 『洋子の引越し』 |
谷口正晃 |
| 特別賞 『閉じる男』 |
中川泰伸 | 特別賞 『RUNNING HIGH』 |
篠原哲雄 |
応募総数 277本 入選 16本

トラックで旅をしながら8ミリカメラを回す青年。生まれ故郷の関西の街で、彼は1人の女子高生に出会う。青年と少女の一見何ら関係性を持たないようなエピソードのつながりで、青春のモラトリアムが語られていく。街を走るトラック、高校時代の恩師、少女とのやりとり。モノクロとカラーを意識的に交錯させた透明感溢れる映像は、あたかも青年自身の心象風景のようだ。ラストシーンで、8ミリカメラを自分に向けた少女の、光に包まれた顔が清々しい。
1989年/16ミリ/パートカラー/39分 英題:A DRIFTING MAN AND A WANDERING GIRL
監督・制作・脚本:松永晃一
撮影・照明:萩原 誠 録音:鈴木昭彦 記録:風間志織
出演:隈井士門、今西恵子

“うしろの正面”=背中、に代表される自分で見ることのできない自分自身の“ある部分”こそが自分自身を知るための大きな鍵となるのだ。食すること、排泄すること、生殖すること…生きる事とは何なのか?しばしばそれを見失った時、人は実体の有る幽霊となって巷を彷徨う。聞き覚えのある童謡のメロディ、川の中や草むらに突然出現するドア、沖縄の女。多重露出や凝ったフィルターワークなど実験的手法を駆使した映像アンソロジー。
1989年/8ミリ/カラー/26分 英題:JUST BEHIND
監督・撮影:具志堅 剛
制作・脚本:みたにけんぞう 音楽:児玉紀代三
出演:田口 誠、松山 緑、宮平悦子

通りすがりの妊婦を襲った通り魔の殺意を内面から描いた作品。ある日、蛆虫を切り殺した事からそれまで眠っていた男の狂気は堰を切ったように溢れ出て、次の殺戮へと浸水していく。蛆虫、ゴキブリ、小犬、そして、妊婦。狂気と正気の錯綜する精神状態をモノクロとカラーにつかいわけ、主人公が殺人までに至る過程をじわじわと描いている。ラストシーンでは男の内的世界が象徴的に表現され、男がなにかの答えを求めて切迫していく様は観る者を圧倒する。映像的に、そしてテーマ性からみても非常に完成度の高い、見ごたえのある作品。
1989年/16ミリ/パート白黒/32分 英題:EXIT
監督・制作・脚本:勝然武美
撮影:池宮直弘 音楽:竹内 淳
出演:小竹林義一、勅使河原三郎、黒田福美、及川治芳

“しゅたっ!”まるで江口寿史の漫画のように登場するのはサム冬井。ラグビー部のキャプテンとして、部員からの信頼も厚い彼は毎日ボールを追う熱血青春野郎なのだ。ある日、彼に学内で起きた殺人事件の容疑がふりかかる。彼は自分にウリふたつの男、ニセ冬井が真犯人であることをつきとめるが、果たして打ち倒すことはできるのだろうか。そしてサムを愛する美少女、桜の運命は?繰り出されるギャグのジャブ。映画的文法を極限まで破壊しながら、なおストーリーはわかりやすい。“ここまでやれば文句ない!”パワフル・コメディ。
1989年/8ミリ/カラー/48分 英題:THE SUPER BATTLE OF CAPTAIN FUYUI
監督・脚本・撮影:小山紀之
制作:小川健一郎 音響:萩原正一郎
出演:吉田浩幸、中栗千波、宮村伸哉、荒木陽三、墨岡雅聡

水の中に住むカッパたちの世界。そこで彼等はねずみ色の団地に住み、ねずみ色の壁にとり囲まれ、ねずみ色の空を見上げる。哀感あふれるカッパの後ろ姿の表情は、中年サラリーマンのそれと酷似している。やがて、薄笑いを浮かべ続ける平和なカッパたちの生活にも最終戦争が訪れる。大量殺戮と吹きしぶく紫色の血、死体の山。しかしそれが過去の出来事なのか、未来なのかは言及されない。必死に自転車をこいでいく1匹のカッパは一体どこに行きつくのか…。観念としての戦争、観念としての日本人をとらえた異色アニメーション。
1989年/8ミリ/カラー/7分 英題:KAPPAS
監督・制作・脚本・撮影・音楽:大沢克哉

子宮筋腫で子供が産めない体のみかげ。彼女は恋人と別れた夜、彼女を慕う桜井に身をまかせてしまう。自分がみかげの子供の代わりになると言う桜井だったが、翌日彼の姿は本当に少年になっていた。みかげは驚くが、彼に対して母のように姉のように愛情を注ぎはじめる。折しもラジオからは、世界情勢の不穏な空気を告げるニュースが淡々と流れて…。
きっちり組みあげられた構成、セオリーを守った確実な演出で、ファンタジーをリアルに描く。近未来の日本を予言するようなラストが、題名と重なって心憎い。
1989年/16ミリ/カラー/30分 英題:BORN TO BE BABE
監督:秀島康夫
制作:馬場 当 脚本:喜屋武 靖、宇野亮太郎、蔵原惟宣
出演:佐々木章子

他人の心に自分の感情というベクトルを投げて推し量る作業と、無秩序な土地を“測量”する作業は限りなく似ているのかもしれない。小説家志望の山中は、友人の永井の下宿に転がり込んだ。そこに永井の妹・やえも上京。3人の投げるベクトルは三様。皆全く違う主張を繰り返すだけだったが、やえのビデオ作りを通じて少しずつ彼らはお互いの気持ちを知るようになる。的確な人物の配置によって、登場人物をうまく生かした演出手腕は秀逸。意志の疎通ができなかった3人が向き合っていく様を、日常の些細な出来事を通して描き切った。
1989年/8ミリ/カラー/54分 英題:TRIANGLE SURVEY
監督・制作・脚本:北山裕章
撮影:小山 寛 録音:河村雅子、水野史人 記録:玉田友利子
出演:中 幸彦、田中弥生、永井 誠

映画にとってカメラはペンであるとかつて言われていたが、しかしこのフィルムにとってのカメラは作者の武器の如く暴れ回る。“閉じる男”は強い自己顕示欲を持ちながらありきたりのコミュニケーションを拒否し、行き場の失った“自分自身”を相手構わず、場所をわきまえず、叩き付け、撒き散らす。やがてカメラは作者の一部と化し、作者と共に地面を這いまわり、作者と共に回転し始める。自虐的、露悪趣味的、暴力的…現代青年の病める魂を鮮烈に描く。
1989年/8ミリ/カラー/76分 英題:SELF-CLOSED MAN
監督・制作・脚本・撮影:中川泰伸
出演:中川泰伸、鈴木卓爾、菊池摩美

これといってはっきりした目的もないまま毎日を過ごす平均的な大学生たち。“友だち以上、恋びと未満”の微妙な関係を保ちながら複数のガールフレンドの間を揺れ動く主人公、料治。彼等の青春は今を盛りと咲き乱れる。しかしそんな彼等のフレキシブルな関係にも、別れを告げなければならない日がやがて来る。大人への道程を一歩踏み出してしまった青年の不安と虚無感が、演出かどうか疑いたくなるほどナチュラルな演技で爽やかに描かれていく。
1989年、8ミリ、カラー、53分 英題:MORE THAN FRIEND, LESS THAN LOVER
監督・制作・脚本・撮影:黒岩利之
音楽:高橋良明 照明:五十嵐丈水
出演:料治堅二郎、後藤里花、樺沢美晴、遠藤圭介、横井まどか

福島から上京して独り暮らしをしている予備校生のもとに、突然彼の母親が訪ねてくる。なぜか母親は白いバイクのヘルメットをかぶっている。福島から1人でバイクに乗ってやってきたのだろうか。部屋に上がってこたつに足を入れてもヘルメットをはずす様子はなく、葱の入った買い物袋を掻き抱いたままでいる。母親は何も語ろうとしない。謎は深まり、夜の淵からひたひたと恐怖は這い上がる…。日常生活の中でいつ起こるかわからない和製“教訓”ホラー。
1989年/8ミリ/カラー/14分 英題:THE WELSH ONION
監督・制作・脚本・撮影:三上昌晴
出演:山下建治、采野圭子、三上昌晴

植田と小池と圭子は大学4年生。大学というパラダイスのタイムリミットも秒読みに入って、彼らは三者三様の焦りを感じている。圭子は就職先が決まらない。植田は圭子の気持ちをつかみかねている。小池は小説家の夢と就職という現実の板ばさみ。過ぎゆく夏。楽園の中での時間をつなぎ止めるかのように、彼らは少し遅い花火の夜を楽しむ。小池が夢の中に見る不思議な家庭図。夏草の茂る河原にぽつんと置かれたままごとの食卓を囲む3人の姿が、曖昧な未来への不安を柔らかく淡々と観る者に伝える。その真摯な青春像は、胸をうつ。
1989年/8ミリ/カラー/24分 英題:THE FLOWER
監督・制作・脚本・音楽:小池 隆
撮影:植田 聡
出演:植田 聡、野村圭子、小池 隆

アインシュタイン6人分の頭脳を持つという超人的天才の城戸博士は、1億ギガギガゴーという情報量を一度に処理する超大容量情報処理システムを開発中だった。そんなある日、不意の爆発事故で城戸博士はすべての知性を失い、猿人化する。そこへかねてから陰謀を企んでいた獅子面博士が…。城戸博士の助手たちは博士がかつての頭脳を取り戻すべく東奔西走するが、突然、地球に隕石が落ち、中からドラゴンが出てきて暴れ回り始める。科学文明を皮肉り、ブラックな笑いを誘うナンセンスなサイエンスコメディ。
1989年/8ミリ/カラー/75分 英題:AN UNCERTAIN PLANET
監督・制作・脚本・撮影:宮本祐介
音楽:村本隆文、笹山明宏 助監督:善家直己
出演:村本隆文、本多 敬、川野祐一、高橋正継、藤崎浩雄、木村康政

ひとりの大学生を軸に彼をとり巻くエピソードで綴る、平成元年の初夏の日々のスケッチ。必修レポートや就職活動を巡っての友人達とのやりとり、なぜか気になる美青年、姉の訪問など独立したエピソードを、ゆるやかなリズムで展開させる。また、人物を遠景の中に配置させることによって周囲の空間も画面の中に取り込み、初夏特有の瑞々しさを自然な形で表現している。主人公の佐分君の希有なキャラクターとも相まって、彼の“とりたてて何も起こらない”日常が淡々と描かれ、観る者を引き込んでしまう、不思議な作品。
1989年/8ミリ/カラー/33分 英題:EARLY SUMMER IN 1989
監督・制作・脚本:佐分克敏
撮影:佐分克敏、鴨下敏治、加地秀基
出演:佐分克敏、加地秀基、鴨下敏治、佐原隆司、栗本和佳子、楚山容子

伊藤、吉田、奸原、春美は高校の同級生。伊藤は親友の吉田に秘かに想いを寄せている。吉田はそんな伊藤の気持ちを、困惑する風でもなくただ自然に受けとめている。ところが吉田の家に集まったある晩、春美が勢いで言った「伊藤君って吉田君のこと好きなんでしょ」という言葉によって、彼らの心の中に波紋が広がり始める。否応なく抱え込んでしまった同性愛という“秘密”の前で、彼らは苛立ち、戸惑い、気持ちを探ろうとひっかきあう。思春期の若者の心の微妙な揺らぎを、丁寧かつ大胆な手法で描く。
1989年/8ミリ/カラー/51分 英題:A SECRET EVENING
監督・制作・脚本:橋口亮輔
撮影:斉藤久志 録音:鈴木卓爾
出演:橋口亮輔、白井孝子、遠藤 考、紫野長男

埋立地に広がる寒々とした風景。一直線にのびる一筋の道路。長谷川はガールフレンド、洋子の引越しの途中にここへ迷い込む。だが、2人の会話はぎくしゃくとして噛みあわない。ふとした事から長谷川は、がらんとしたこの風景の中に1人取り残される。彼は弾むボールと戯れ始める。コミュニケーションがうまくとれない様とその孤独感を、風景の持つ“静”と転がるボールの“動”のコントラストが創出する映画的空間によって表現した作品。荒涼とした風景の中にぽつんと1人の人間がいる様子は、実存主義的でさえある。
1989年/16ミリ/モノクロ/23分 英題:YOKO'S MOVING
監督・制作・脚本・撮影:谷口正晃
音楽:蛯名民郎 録音:岡重佳子
出演:粕谷雅人、志田 泉、三好 靖、福住治夫

結婚式帰りの男。酔って目覚めればそこは早朝の公園。気ままに早朝の街をさまよう彼は、そこでマウンテンバイクの少女に出会い、ふとしたことから少女のかわりに警察に追われるハメに。のんびりと清々しい朝の空気を追っていたカメラは、一転して男と一緒に逃走をはじめる。殺気立って執拗に彼を追う警官。彼は追手をふりきろうと必死に走り続ける中で、次第に高揚してゆく自分を知る。まるで、退屈でありきたりな日常から飛びたつための助走であるかのごとく――。力いっぱい走る男を雄弁に捉えるカメラワークが見事。
1989年/8ミリ/カラー/26分 英題:RUNNING HIGH
監督・制作・脚本:篠原哲雄
撮影:上野彰吾 録音:田中靖志 音楽:村上浩之
出演:千葉哲也、谷口典子、佐藤文裕、三上剛士