

| 作品名 | 監督名 | 作品名 | 監督名 |
|---|---|---|---|
| 『兎が眠っているよ』 | 河本浩志 | 『スバルの夜』 | 山田勇男 |
| 『絵里子』 | 山口弘高 | 『1979 Lovely Kids Venus』 | 金沢一夫 |
| 『ORANGING'79』 | 今関あきよし | 『ビハインド』 | 山川直人 |
| 『黄色い夜』 | 草開のりみ | 『Face』 | 室口ありす |
| 『気分を変えて?』 | 犬童一心 | 『Bo Peep 5~7』 | 寺井 重 |
| 『錆びた缶空』 | 松井良彦 | 『MATERIAL ECSTASY』 | 梅林俊彦 |
| 『市民伝説』 | 久保内 孝 | 『UNK』 | 手塚 眞 |
| 『Sweet Career Girl』 | 本山俊也 | 『養護学校はあかんねん!』 | 市山隆次 |
応募総数 265本 入選 16本

現実と夢、夢と現実が一続きになり、どこまでもそれを繰り返していくメビウスの輪のような構造を持つ作品。カットを切り返す度に場所が変わっていくような会話のシーン、或いは上り電車と下り電車が溶け合ってしまう踏切、大阪城での東京のポラロイド兄ちゃんとのやり取り、またはテニスのシーン。作者独自の方法とそれに裏づけられたイメージの広がりが豊かな映像と言葉のゲームを作り出している。
1979年/16ミリ/カラー/32分
監督・制作・脚本・撮影:河本浩志
出演:山本洋司、本田孝昭、宮原ひとみ、小沼英一

細やかな視線を感じさせるカメラが、自己流の生活サイクルを持っている絵里子を通して、ストーリーの中心となるべき大阪という都市の日常的な生活感覚を描き出す。絵里子と偶然に知り合った青年の理性的な律儀さと、彼女の直情的な感覚とのふれあいを、味のある演出によって見せてくれる。何げない描写が後のシーンに関わってくる時に、さかのぼってそれが生きてくるような構成は見事。
1979年/16ミリ/白黒/45分
監督:山口弘高
撮影:向 昭二、井上雅之 助監督:森田晃弘 照明:郡麻佐弘、西山健司 録音:前田光治
出演:末長正美

恋するカメラを間にはさんで、素顔の三留まゆみと、映画の中のまゆみちゃんとが素直に一致していて、そこには見る者が疑問を差しはさむ余地も、演出上の意図も全く感じさせないさわやかさがある。ラストで、江の島の海岸に着いたまゆみちゃんが、「私、この映画で泳いでアメリカへ行くんですって」と語り、水着に着換えて海に飛び込むとき、「彼女は本当にアメリカに行っちゃったんですって。信じてくれますね」とナレーションが入り、彼女が「はい!」とカメラに向って返事をするところに象徴されており、実にさわやかな幕切れに圧倒される。
1979年/8ミリ/カラー/25分
監督・制作・脚本・撮影:今関あきよし
照明:小林弘利
出演:三留まゆみ、田代豊一、手塚 真
| 1985年 | レスター8ミリ映画祭 | (イギリス) |

スタッフはほとんど女性で、驚くほど高い技術水準の上に豊かに広がっていくイメージを持つ作品。1つ1つのカットの構図やトーンには実に丹念に気が配られていて、編集もその映像の中から流れ出してくるものにそって組み立てていく計算がなされている。その映像の流れの上を、何か大切なものが失われ、そして何か大切なものを得るような、すべての女性にとって象徴的な1つの夜が、詩のような形で綴られていく。
1979年/8ミリ/カラー/10分
監督・脚本:草開のりみ
撮影:小林美香子、高木邦子 照明:石野佐代子 記録:三浦宏子 製作:日本女子大学映画研究会『ドツボ』
出演:鳥居千恵子、松本明美

原将人監督の「おかしさに彩られた悲しみのバラード」、大森一樹監督の「空飛ぶ円盤」シリーズ、黒沢清監督の「スクール・デイズ」の影響を受けたという犬童監督の処女作。4月4日のキャンディーズ解散の様子と、その日を舞台に撮られたもう一本の映画。その2つを乱暴につなぎ込みながら、78年の夏を、舞台に映画にのめり込み過ぎた1人の少年が、初めて男の生理日を迎え、「気分を変えて」という映画を作ることによって、気分を変えて男の生理を乗り切る姿が描かれている。こうした身近なことによりかかっていると見せて、それをフィクショナルな構造まで持ち上げ、作者の生きている時代とそこで感じていることのすべてをぶち込んでいくパワーには、見るものを圧倒するものがある。
1978年/8ミリ/カラー/30分
監督・制作・脚本:犬童一心
撮影:犬童一心、池田一之 助監督:池田一之 製作:法政一高シネマ・ド・ヒマゴ
出演:原 純一、長谷川 聡、池田一之

ホモのカップルと、相手のいないホモ男の3人が絡み合ったり、並行したりしながら描かれていく。おかしくて、切なくて、一見普通の小太りなおっさんタイプの男からこうしたイメージを引き出してくる演出と、役者の1つになったパワーを感じさせる。一方、その間カップルはバスルームでホモの阿部定事件を繰り広げる。このあたりの凄惨な描写もなかなかのもの。
1979年/8ミリ/カラー/59分
監督・制作・脚本:松井良彦
映像:石井聰亙 助監督:清末弘之 製作:狂映舎
出演:田村三郎、佐野和宏、秋田光彦

スライドのように展開していく沖縄へ行った修学旅行の記念写真風の8ミリから始まり、1人の若いセールスマンの日常を淡々と追った青春映画。ドラマとしての盛り上がりを徹頭徹尾排除し、車に乗りタイプライターを売り歩く若者の日常が、独自のテンポのなかでゆるやかにつづられていく。フロントガラスを通して見える、町の風景が独特の色調のなかで映し出され、その風景が何とも言えず寂しく、そして美しい。主人公もそうして風景に向き合うときのみ、“青春”と言えるような輝きを見つけているのだろうと感じさせる。
1979年/8ミリ/カラー/70分
監督・制作・脚本・撮影:久保内 孝
出演:土屋裕二、福島由季子、八木原裕行、船瀬俊介

スタイリストのユキと、東京に先輩をたずねて来た大学1年のドドイチ君のコミカルな同棲生活。不妊症・売春・自殺などの暗くなりがちなエピソードをさらりと織り込みながらも、軽いタッチをくずさないだけの配慮がなされており、キャラクターをそれぞれの状況の中でいかに生かすかということをまるで名画の中の1シーンのような場面設定に封じ込めている。安っぽいメロドラマのパターンになりやすい設定・ストーリー展開をしていながら、とにかく見せてしまおうという意気込みにあふれた作品。
1979年/8ミリ/カラー/50分
監督・撮影:本山俊也
脚本:小林修司 録音:菊池靖志 製作:慕舞出異乱
出演:杉本 薫、山下正道、宮松和代

少年を看病する少女は、少年の願望する母親の姿、やさしい姉、はたまた妹、それとも恋人とあらゆる姿のイメージが重なり合った人物として登場する。背中に羽をつけた青年は、成長した青年自身の姿であろうか、ひたすら夢想する人さらいなのかもしれない。危うく揺れ動くまぼろしの世界にあって、少年の目ざめにより、確実に1つの終焉があってひとつの始まりがある。少年の意識と無意識世界の危うい関係を、計算されたトーン、確実なカメラテクニック、独特なフィルター効果を拠りどころとして、1つのカラーで引きつける。青年は、少年の世界から旅人となっていつか見るであろう風景を目指して、フレームの中から歩き出るのである。
1979年/8ミリ/カラー/60分
監督・制作:山田勇男
脚本:稲葉憲仁 撮影:藤木光次 美術:湊谷夢吉 製作:銀河画報社
出演:M少年、Y氏、R嬢

山の端に今にも消えそうな太陽の断片を残している夕焼けの風景、空の中央をかすかに色を示す虹を背景にメッセージを伝え続ける子供達、そんな眺めているようなカメラの視点が、ある一定のリズム感で揺れ動き、撮影者の心の流れをうまく表現している。
1979年/8ミリ/カラー/10分
監督:金沢一夫
出演:甥、姪、祖母

大学生の男女の同棲生活のドラマかと思わせる、アパートの一室の朝のシーンから始まるが、一歩先に学校へ向かった男女が突然汽車に乗って帰郷するあたりからスタイルは一転。今度は男の行動とイメージを中心にした映像の断片が、あたかも始まりのドラマの後景をまさぐるように組み立てられていく。後ろにあるもの、過ぎてしまったもの、それらは素知らぬ顔をして通りすぎてしまえば何でもないのかもしれないが、あえてビハインドにこだわり続ける作者の方法は、単に主人公のイメージを通して語られるだけでなく、イメージのなかの人々によって、或いは作者自身のイメージによって語られていく。
1978年/8ミリ/パートモノクロ/60分
監督・制作・脚本:山川直人
撮影:沖山真保 製作:早大シネ研タコス
出演:伊藤清彦、石井葉子、室井 滋、石崎暢子
| 1982年 | ベルリン国際映画祭 ヤング・フォーラム部門 |
(ドイツ) |
| 1985年 | レスター8ミリ映画祭 | (イギリス) |

数枚のスチール写真を8ミリで再撮影することによって、本来動かない筈のスチール写真に動きを与え、ズーム効果などを駆使し、シュールな世界に、見る者を誘い込む。1人の男の“顔”が異時空間の中で回転したりするという、非現実の世界を描く常套手段を用いながら、被写体の動き1つ1つが、映像のリズムをうまく作り出して、この作品を一定レベル以上にしている。
1979年/8ミリ/カラー/3分30秒
監督・撮影:室口ありす
協力:青少年飛行団

フィルムをひっかいた文字『Be Peep 5』で始まるこの作品は、1秒間に9コマという、通常8ミリで映写されるスピード、1秒間に18コマに対して2倍の時間がかかる映写がなされる。それによってひとコマごとに撮影された対象が、見る人の目に長くさらされることで、高速で撮られた対象を普通の映写コマ数で映写する通常のスローモーションとは違った効果を生み出している。このことにより不思議なリズム感が生まれ、見るものの感性を強く刺激する。6では色の重なりを、7ではシルエットを中心にしたイメージを心の動きのまま展開させている。
1979年/8ミリ/カラー/14分
監督:寺井重

かげろうのように、もろくも崩れやすい、消えさってしまいそうな危うい光と影のイメージを、フィルムを媒体として繋ぎ止め、明確なスタイルで描き出す。サイレントゆえに、スクリーン上で展開する光のスペクタクルの中かリズムとメロディーが聞こえてくる。また、監督自ら上映する時は、映写スピードを自由にコントロールして、ライブ演奏のような効果をつくりだしている。
1979年/8ミリ/カラー/10分
監督:梅林俊彦

「未知との遭遇」へのオマージュとして作られながら、8ミリでなければ出すことのできない、一種独特の魅力を全編にわたって発散させている。多重露光の際の極端な露光差をうまく使って、あたかもマスキングによる合成を思わせる特殊撮影や、身近な素材を選びながら、その色や光、輝きのみを多重露光でカメラに収めていき、豊かなイメージを作り出していくテクニックなど、8ミリの限界をわきまえながらも、そのことによって8ミリの限界線をさらに遠くへ引き直そうとする努力が素晴らしい。
1979年/8ミリ/カラー/15分
監督・制作・脚本・撮影:手塚 真
出演:山本奈津子、UFO

カメラの視線の内側に、凝視しようとする意識がはりついていて、その意識が対象に対する迫り方に明確な姿勢をもたらしているドキュメンタリー。健常者と身障者との間にある距離をここでは、身障者の側から描くことによって、よりはっきりとさせ、この映画のタイトルにもなっている“養護学校がなぜいけないのか?”を、身障者の肉声を通して語らせている。このストレートな、対象をいかに自分のところに引きよせるかという、記録することのもっとも基本的な試みによって、ドキュメンタリーという映画の1つのジャンルの中だけでなく、映画そのものの持ち得るパワーをいかんなくフィルムに定着させることに成功している。
1979年/16ミリ/白黒/50分
監督・制作:市山隆次
構成:大石十三夫、山邨伸貴 編集:山邨伸貴 録音:若月 治
撮影:小田 博、小林義正