◎コンペティション部門 PFFアワード2014

PFFアワード2014 審査員特別賞受賞作品

不器用で愛らしい、男たちの人間模様

『モーターズ』

The Motors
[2014年/83分/カラー]

監督・脚本・編集:渡辺大知

脚本・録音:磯 龍介/撮影:中里龍造、大竹優輝/照明:高橋純一、中川翔太
出演:渋川清彦、犬田文治、木乃江祐希、前田裕樹、川瀬陽太、鹿江莉生

この映画のキーワード

  • 整備工員たちの愛すべき日々
  • 渋川清彦の繊細な魅力
  • PFF各会場で人気

セレクション・メンバーによる解説

田舎の整備工場で働く田中は、うだつのあがらない日々を過ごしている。新入りのタケオもバンドがしたくて仕事をすぐ辞めることになるが、職場の面々は彼を優しく迎える。そんな中、一組のカップルが車の修理にやって来た。その彼女に淡い恋心を抱く田中だったが…不器用だけど愛らしい人間模様が映画の時間を充たしていく。
どんな映画にも終わりがくる。それは寂しいことだけど、優しいことだ。ある限られた季節の出会いと別れを写し取ったこの映画も、やはり83分で終わる。しかし、心の時間に風が吹き込んでくるような感触は、この先も色褪せることはないだろう。彼らのような魅力溢れる人間たちと擦れ違うために、明日も映画を見るのだから。渡辺大知監督のデビュー作『モーターズ』は映画の喜びそのものだ。ブラボー!

文:小原 治(映画館スタッフ)

監督:渡辺大知 わたなべ・だいち

1990年 兵庫県出身。東京造形大学造形学部デザイン学科映画専攻在学中
小学生のころに脚本家を目指して、いつか映画を撮ると思っていました。高校でバンドを組んでデビューして、役者として映画にも出演したけれど、脚本はずっと書き続けてきました。『モーターズ』は東京造形大学の卒業制作です。最初は自分の姉貴をモデルに、女の子が整備工場の男に恋する話を書き始めたものの、女性の気持ちがよくわからなくて行き詰まりました。そこで主役を男にして、将来の自分の姿をモデルに想定してみました。主人公の田中は40歳になったらこんな男でいたいという自分にとっての理想像で、彼と今の自分をモデルにした人物・タケオが会話する画を見てみたいと思った。そして地元に根づいて暮らす男たちの生活をシンプルに描きたいとも思いました。自分が出演しなかったのは、この映画を自分がずっと見ていたい世界にしたかったから。渋川さんには、女の子が主人公の段階で小さな役をお願いしていて、主人公を男に変えたとき、自然と渋川さんの顔が浮かんだので出演依頼しました。誰がプロの俳優で誰が素人かも関係ない世界が面白いと思って、渋川さんにもひとりの人間としてこの世界で生きてもらえるような演出を心がけました。

繰り返し観ている作品
『ミーン・ストリート』(73年/マーティン・スコセッシ監督)
最近観て面白かった作品
『きっと、うまくいく』(09年/ラージクマール・ヒラーニ監督)
好きな映画監督
エミール・クストリッツァ、ジャ・ジャンクー、アキ・カウリスマキ
主役にしたい俳優
姉貴

【フィルモグラフィー】
『モーターズ』(2014年/83分/カラー)、『ワルツ』(2009年/23分/カラー)

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月16日(火) 18:30~ / 2014年9月19日(金) 15:30~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月16日(火) 12:00~ / 2014年12月19日(金) 16:20~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 18:30~
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 13:00~ ※渡辺監督、来場予定。
  • 【福岡会場】2015年4月24日(金) 18:30~

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