◎コンペティション部門 PFFアワード2014

謎の球体の出現が、SF的想像力を刺激する

『丸』

OW
[2014年/89分/カラー]

監督・脚本・編集:鈴木洋平

共同脚本:小山侑子/撮影:柏田洋平/録音:平井名辰哉/音楽:今村左悶/ラインプロデューサー:上野修平
出演:飯田 芳、木原勝利、池田 将、金子紗里、軽部日登美、村上ROCK

この映画のキーワード

  • 謎の球体“丸”
  • 身体が静止する
  • しばらく余韻が後引く作品

セレクション・メンバーによる解説

平凡な一軒家で発生した父子心中未遂事件。父親のみが銃で自殺し、現場にいた次男・鉄男とその恋人・百合子は、その事件以来、文字通り時間が静止してしまう。記者・出口は独自に調査を進めるうち、不条理極まりない世界へ迷い込む…。それを見ると時間が止まり、世界が歪む。不穏な丸の正体は、観る者の解釈そのもの。
さながら『2001年宇宙の旅』のモノリスのように、鈴木家の空間に突如として現れた球体。しかしもたらしたものは叡智ではなく、静止。父の死と次男の静止によって、それなりに平穏無事だった鈴木家の日常が変化し、真相を追う男をも変えてしまう。クライマックスで対峙する鉄男と出口の殺し合いは、身体の静止者と思考の停止者の、互いの全存在を懸けての闘いに他ならない! ともすれば空気さえも読む私たちを…丸は試してくる。

文:皆川ちか(ライター)

監督:鈴木洋平 すずき・ようへい

1984年 茨城県出身。多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業
会社勤めをしながら市民演劇で舞台に立っていた父親が映画好きで、最初に見た映画は『2001年宇宙の旅』。家の壁をモノリスに見立てて、毎日、手を触れていました。長じて映画を作るようになったのは、家族からの影響とモノリスの呪いかも(笑)。ドイツの「ニッポン・コネクション2010」で2作品が上映された前年から、地産型を目指して、地元近くの水戸市在住。でも、『丸』は、第9回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)助成作品なので、撮影は大阪。実家の雰囲気を少しでも出したくて、一家の名前を鈴木にして、両親の名前も取り入れて。たまたま知り合った人の事務所が西成の一軒家で、そこに寝泊まりして撮影しました。元は遊郭で、そのあと保育所になった、変わった建物です。近くにヤクザの事務所があったり、外でのロケが思うようにできず、ほとんど室内撮影に。当初は、静止のときの脳波状態を学術的に説明したり盛りだくさんでしたが、もっと抽象的な、観念の映画にしようと、今の形になりました。バランス的にむしろちょうどよくなったと思います。

繰り返し観ている作品
ない
最近観て面白かった作品
思い当たらない
好きな映画監督
秘密
主役にしたい俳優
小林 旭

【フィルモグラフィー】
『丸』(2014年/89分/カラー)、『もの、物、者、もののけ』(2011年/9分/カラー)、『素人アワー』(2009年/52分/カラー)、『空気に殺される』(2006年/40分/カラー)

◎予告編

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月14日(日) 11:30~ / 2014年9月18日(木) 15:30~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月14日(日) 18:40~ ※鈴木監督、来場予定。/ 2014年12月16日(火) 16:20~
  • 【名古屋会場】2014年12月18日(木) 18:30~
  • 【神戸会場】2014年12月20日(土) 19:00~
  • 【福岡会場】2015年4月24日(金) 16:00~

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