◎コンペティション部門 PFFアワード2014

想像と創造が連なる不思議なアニメーション

『小さな庭園』

Small Garden
[2014年/12分/カラー]

監督:斎藤俊介

音楽:岡本憲昭/サウンドデザイン・ミックス:染谷和孝/2D背景:佐々木達也/2D動画仕上げ:スズキハルカ/ロゴデザイン:恰土希帆

この映画のキーワード

  • 最先端アニメーション
  • 科学的好奇心を誘発
  • 別次元へのトリップ

セレクション・メンバーによる解説

学校で理科の教鞭を執っている者にとって、本作品は実に興味深く、隅々まで科学的好奇心を想起させられた。どこかで見覚えのある造形群は作者の映画体験の蓄積を物語っていると同時に、細胞分裂や地殻変動、エントロピーと不可逆性など、科学的素養の深さに思わず嫉妬する。しかし、その一方で想像と創造が入れ子のように連なり、生命誕生と宇宙創世を匂わせた曼荼羅的世界観は、秩序とは相反する混沌の渦の中に迷い込ませる。“カオス”の対義語を調べてみるとその答えは“コスモス”。この瞬間、主人公である片眼のハンプティ・ダンプティ(勝手にそう呼んでいる)は、まさにカオスとコスモスをつなぐ「LIFE」の存在証明であったと確信した。主人公が目を覚ますといつもの庭園があり、空を鳥がゆらりと泳いでいる。まるで全てを悟った者のように。

文:中山康人(教師)

監督:斎藤俊介 さいとう・しゅんすけ

1984年 千葉県出身。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業
大学2年のときの必修科目でアニメーション制作に出会いました。卒業後に入ったCM制作会社では実写が主でしたが、フリーになってからはアニメーションを主体に。仕事とは別に、自分のオリジナルの世界観でなにか作りたいと思ったのが『小さな庭園』の出発点です。ちょうどフリーになったタイミングで、守られた環境で安全に過ごすよりも危険がともなっても自由な世界にいるほうが幸せじゃないかというテーマがありました。でも、ストレートに描くと説教臭くなるので、最終的にはそのテーマが伝わらなくてもかまわないと最初から考えていました。仕事の合間にこつこつやって、3年ぐらいかかりました。最後のほうは、このままではいつまでたっても終わらないと思い、3か月間、仕事を断って、誰とも会話しないまま、引きこもり生活。自分でも半分よくわからないものを作っていたので(笑)、先の見えない暗闇を歩いている感じで、半ばウツ状態に。仕事に復帰した当初は、人と会っても声がなかなか出なかったほどでした。

繰り返し観ている作品
『インファナル・アフェア』(02年/アンドリュー・ラウ、アラン・マック監督)
『ねこぢる草』(01年/佐藤竜雄監督)
『ホーホケキョ となりの山田くん』(99年/高畑 勲監督)
『さよならCOLOR』(05年/竹中直人監督)
最近観て面白かった作品
『かぐや姫の物語』(13年/高畑 勲監督)
好きな映画監督
高畑 勲、湯浅政明、ロバート・ゼメキス、クリストファー・ノーラン
主役にしたい俳優
竹中直人

【フィルモグラフィー】
『小さな庭園』(2014年/12分/カラー)、『ゆめ』(2006年/2分/カラー)

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月13日(土) 18:00~ / 2014年9月17日(水) 12:00~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月15日(月) 18:40~ ※斎藤監督、来場予定。/ 2014年12月18日(木) 18:40~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 10:30~
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 18:00~
  • 【福岡会場】2015年4月24日(金) 13:00~

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