上映作品紹介

◎コンペティション部門 PFFアワード2015

577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。

『ひとつのバガテル』

監督:清原 惟

音楽の効能と真摯に向き合う

PFFアワード2014入選作『暁の石』の共同監督、清原 惟の新作。古い団地に間借りするアキ。大家である老女マリとの関係は微妙だが、マリのピアノを弾くことがアキの至福の時だ。人がほとんどいない団地、謎の手紙、マリの奇妙な刺繍など、不思議感を随所に散りばめ、圧巻のラストで一気に盛り上げる。

セレクションメンバーからのコメント

人間にとって音楽とは何だろう。誰かにとっては地図みたいなものかもしれない。音楽があるから迷子にならない、そんな世界の住人が確かにいるだろう。耳を澄ますと聞こえてくる音楽があるように…そこで自分のピアノに辿り着くアキ。一生涯の発表会は写真には映らない。僕らだけが立ち会える映画のシーンがそこにある。前作『暁の石』も大変面白かったが、清原惟監督の最新作は、それにも増して映画を見る喜びを教えてくれる一本。

小原 治(映画館スタッフ)

監督紹介

清原 惟Yui Kiyohara

1992年東京都生まれ/東京芸術大学 大学院映像研究科映画専攻監督領域 在学中

『ひとつのバガテル』は武蔵野美術大学映像学科の卒業制作として作った作品です。以前から音楽を聴くのが好きでしたが、名曲喫茶でアルバイトを始めたのがきっかけでクラシック音楽を多く聴くようになりました。そのことや、レコードで音楽を聴くようになったこともあって、自分の中での音楽の意味が変化しました。一音ずつ音を拾って聴いていくことがとても楽しく、音楽がより大きな存在になったと思い、テーマのひとつにしました。
この作品は私の身近な人々や場所と共に作り上げました。私の頭の中の世界を具現化させる映画ではなくて、周りの世界の魅力を映し出す映画を作りたいと思いました。主人公のアキ役は武蔵美の仲の良い友人で、撮影現場でずっとピアノの練習をしていました。毎日ちょっとずつピアノが上手くなったり、お茶を飲んでおしゃべりしていた時間も、画面には映らないけれど、この作品の一部になっているように感じます。

【繰り返し観ている作品】
『ゴダールの決別』(1993年/ジャン=リュック・ゴダール監督)、
『溶岩の家』(1994年/ペドロ・コスタ監督)

【好きな映画監督】
清水 宏、マルグリット・デュラス

上映日時

[2015年/72分/カラー]
監督・脚本・撮影・編集:清原 惟/録音:林 暢彦、野川菜つみ/照明:増本竜馬/助監督:青木思穏/音響:林 暢彦
出演:青木悠里、原 浩子、加藤周生、中島あかね、菊沢将憲、立原 学、櫻井知佳、林 暢彦、大高文人、小島智史、森 曠士朗、古川美祥、橋本日香里、坂藤加菜、岩崎友哉

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