577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。
PFFアワード2015 審査員特別賞、神戸賞
大阪は釜ヶ崎が舞台。淀川の河川敷に元日雇い労働者の佐々木さんが作ったハウスに同居する、あたる。空き缶回収に精を出して日銭を稼ぎ、あたるは生まれて初めて自由を知る。そして魅力的な女性の出現により、あたるの世界は少し広がるのだが…。心優しき人間たちの孤独と生きづらさをみずみずしく描く。
ホームレスの日常がリアルで、物語としてはすんごくシリアスでツライのに、不思議とほっこりするのは何でだろう。あたるくんと佐々木さんが、笑ったり怒ったり恋したり傷ついたりする毎日がとても愛おしくて、一緒に泣いたり笑ったりしてしまった。特にあたるくんのふとした表情や、佐々木さんのちょっとしたセリフは、思い返すだけでじんわり。人間は、馬鹿で愚かで本当にどうしようもない。でもやっぱり愛すことを止めたくないって思える作品です。
小坂井友美(ぴあ中部支局編集担当)
1993年大阪府出身/大阪芸術大学 映像学科 卒業
高校3年生のとき、僕の双子の兄である駿と2人で30分のドラマを作りました。そのとき、主演の僕よりも駿のほうがはるかに演技上手で画面映りがよかったため、自分は今後は裏方に徹しようと決意しました。『ゴロン、バタン、キュー』は、大阪芸術大学の卒業制作で、原点回帰の意味を込めて、駿に主演してもらいました。
天王寺駅から3駅のところで生まれ育ち、高校生の時に釜ヶ崎という街の雰囲気に触れました。大阪にしかない、いろんな色味を持った町が集まっている、この身近な環境で映画を撮りたくて、まず、ありとあらゆるホームレスのブルーテントを、お酒を片手に訪問して、話を聞いて回りました。温かい人が多くて、そして全員が孤独でした。この企画について、大学の教授陣はみな懐疑的だったんです。撮影できるのか、と。でも、何回も釜ヶ崎のNPOの方々に協力してもらえるように相談に行き、認めていただき、カメラや音響機材を隠しながらも撮影もしましたがなんとか映画として形にできました。
【繰り返し観ている作品】
『蒲田行進曲』(1982年/深作欣二監督)
【好きな映画監督】
山下敦弘
[2015年/54分/カラー]
監督・脚本:山元 環/撮影:辻祐太郎/録音・美術:塩田佳代/美術:見城眞介/照明:藤原貴大
出演:山元 駿、伊藤隆幸、瀬戸田晴、鈴木ただし、大西政子、北村佳佑、榊 颯馬