上映作品紹介

◎コンペティション部門 PFFアワード2015

577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。

『異同識別』

監督:佐々岡沙樹

細部に没頭する喜びよ!

科捜研の男たちが登場するからには事件解明が物語の本筋かと思いきや、さにあらず。膨大な量の地道な作業に悲鳴をあげながらも楽しげな研究員たちの情熱をコミカルに描く、斬新なテーマ設定が魅力。さらに、匂いから呼び覚まされる記憶についても言及され、科学では解明できない真実にも目を向ける。

セレクションメンバーからのコメント

誰にでもたまならなく“好きな匂い”ってありますよね。「ガムテ愛」から生まれたふたりの男の奇妙な結束力。通常は誰も気に留めないことを一心不乱に追求する姿勢と個性豊かな登場人物から目が離せませんでした。ミステリアスな科捜研の事件解明の裏側がコミカルに描かれ、ドラマとして好感を持ちました。知られざる職人の世界を垣間みると同時に“ガムテ”が世のため人のために重要な役割を担っていることに気付かせてくれた作品でした。ガムテープを主軸に置きながら見えてくる人間模様も大注目です!

細川朋子(パブリシスト)

監督紹介

佐々岡沙樹Saki Sasaoka

1982年山口県出身/大阪大学 大学院法学研究科博士前期課程修了

中学2年生のとき、友人と映画をつくろうとして脚本を書いたことが映画制作の第一歩でした。大学時代に映画研究会に入って映画を撮りましたが、その後はテレビの世界に入り映画制作からは遠ざかりました。報道番組のドキュメンタリー制作に携わる中で、ドキュメンタリーだからこそ伝えられることは非常に多い一方で、ドキュメンタリーの形では取材したことを出せない場合も多いという現実に気づきました。
科捜研の方に取材をしたときに、ドラマや映画での完全無欠なイメージとは違う面があることを知り、フィクションにすることでその地道さを描くことができるのではないかと思い、つくったのが『異同識別』です。
ガムテープの話にしようと思ってから、「実はガムテープの匂いが好き」という友人が多いことに気づき、それも取り入れました。小道具作りの中で一番苦労したのが、一瞬しか映らない鑑識の衣装。「鑑識」という画数の多い文字を刺繍しながら途方にくれましたが、完成したときはある種の達成感がありました。

【繰り返し観ている作品】
『ワンダフルライフ』(1999年/是枝裕和監督)

【好きな映画監督】
是枝裕和

上映日時

[2015年/19分/カラー]
監督・脚本・撮影・編集:佐々岡沙樹/録音:藤井泰造、興津佑哉、小宮山芽以/助監督:佐藤志穂、片山菜摘子
出演:山下平祐、加藤良太、浦川有希、見崎由佳、鴇田蒼太郎、小宮山芽以、興津佑哉、高井宏樹、片山菜摘子

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