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鈴木卓爾監督×諏訪敦彦監督「『ジョギング渡り鳥』の製作過程から考える映画のつくり方」

作品に映るすべての人が俳優でありスタッフであり、映画を構成するすべてを全員でわけあうという、過去から多くの映画人が試みようとしてきた「映画づくりの夢」を実現した作品『ジョギング渡り鳥』。第37回PFFの「映画内映画~映画は映画をつくることをどのように描いてきたか~」プログラムでは、本作を上映後、鈴木卓爾監督をお迎えし、諏訪敦彦監督を聞き手に、『ジョギング渡り鳥』と、その創り方、監督という存在の在り方など、映画製作についての多彩な対談を展開いただきました。まるで、ロバート・アルトマンの『ナッシュビル』であり『ウェディング』ではないかという例えも飛び出した『ジョギング渡り鳥』はどのようにつくられたのか?芳醇な映画の対話を、お楽しみください。

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『ジョギング渡り鳥』と『にじ』

『ジョギング渡り鳥』監督:鈴木卓爾

長い旅路を経て、地球に辿り着いた途端に母船が壊れ、帰れなくなった宇宙人たち。彼らは町の人々をカメラとマイクで観察し始め…。併走すると、最後に胸の詰まる、涙が湧いてくる感動作。新宿・K's Cinemaにて公開中(2016年3月29日現在)。
http://joggingwataridori.jimdo.com/
© ミグラント・バーズ・アソシエーション+NPO法人映画美学校

諏訪敦彦監督(以下、諏訪):今日は聞き役という感じでいこうと思います。まずは僕と鈴木さんの関係を言うとですね。

鈴木卓爾監督(以下、卓爾):いつから始まりましたかね。

諏訪:元々東京造形大学っていう同じ大学の出身ですね。最近でいうと、日本ではあまり上映してないんですけど、僕がフランスのシネマテークのために作った10分の『黒髪』(2010)という短編映画があって、それに鈴木さんに出演していただきました。

卓爾:はい。

諏訪:その後、シネマインパクトで鈴木さんの『ポッポー町の人々』(2013)に僕が出演しましたね。

卓爾:シネマインパクトは山本政志さんの映画塾ですよね。あれで、山本さんにちょっと学校の先生役で出てくださいって頼んだら、俺じゃないだろうってことで諏訪さんを呼んでくださったんですよね。

諏訪:山本さんに言われたら、僕は断れないんで(笑)。それでちょっと出演させてもらったみたいな関係もあり。僕は『はなされるGANG』(1984)という作品をぴあフィルムフェスティバル(以下、PFF)でやりましたが、同じくPFFで上映された鈴木さんの『にじ』(1988)という作品が大好きで。

卓爾:ありがとうございます。

諏訪:『ジョギング渡り鳥』と『にじ』を2本立てで観たらすごく面白いですよね。『にじ』はほんと一人じゃないですか。

卓爾:えぇ、一人です。

諏訪:一人で、自撮りですよね。そんなこと誰もやっていなかった時代に自撮りで映画を撮っちゃった。

卓爾:そうですね、ほんとに(笑)。あの頃の8ミリカメラは、まぁ「小型映画」という雑誌の名前もあるくらい小型ではあるけど、そうは言っても今と比べるとすごく……。

諏訪卓爾:大きい。

『にじ』監督:鈴木卓爾

自分の顔にカメラを向け、映画を撮り始め、部屋の中でも、授業中の教室でも、旅に出て野を歩く時も作者の顔がカメラに語りかける。PFFアワード1988審査員特別賞受賞作品。

卓爾:ですので、棒にカメラを付けて自分を撮るっていうのはどうかしてました。

諏訪:(笑)

卓爾:客観的に自分の姿を撮るというか。

諏訪:『にじ』では、人にカメラを渡して撮ることもしていますよね?

卓爾:はい。ロングショットを撮るには三脚を立てて自分でロックして走るか、人に渡すかしないと撮れなかったので。

諏訪:今日、『ジョギング渡り鳥』を拝見していて『にじ』の事を思い出してね。

卓爾:はい。

諏訪:あれは本当に一人で映画を作る行為でしたが、今回たくさんの人々で『にじ』を作ったという感じがね(笑)。そういう風にも見えなくはなかったんですね。

卓爾:そうですね。

諏訪:今回は「映画内映画」という企画での紹介でしたけども、大勢の人が出る映画という系譜でもありますよね。

卓爾:そうですね。たくさん人が出てきますね。覚えきれないぐらいというか(笑)。

諏訪:僕が高校生の時にロバート・アルトマンの『ナッシュビル』(1975)という、これは主人公が24人いるという映画ですね。その何年か後に『ウエディング』(1978)という映画を撮って、これは48人主人公がいるっていう映画で(笑)。僕はそれ高校の時に観たんですが、『ナッシュビル』のパンフレットに出演者のギャラが全部同じだったって書いてあったのがすごく感動しまして。

卓爾:48人!

諏訪敦彦監督(左)と鈴木卓爾監督

諏訪:まだ無名な人も出てるけど『シャイニング』(1980)のシェリー・デュヴァルとか、有名な人も出ているハリウッド映画じゃないですか。それなのにみんなね、ギャラが同じ値段だったって書いてあったの。「大スター・システム」でスティーブ・マックイーンがギャラが何億円とかそういう時代に、みんなギャラが一緒。しかもあれは「ナッシュビル」っていう町に色んなミュージシャンが集まってくる映画で、その歌も、自分で作ったりしてるんですよね、俳優が。

卓爾:うん、うん。

諏訪:その話にすごく感動して、こういう映画すごくいいなっていうのが高校の時にすごく印象に残ってるんですね。

卓爾:『ナッシュビル』、実は僕はまだ観れてないんですけれど、主役っていうのはいないんですか?

諏訪:中心っていうのはいないですね。誰か一人中心っていうのはいなくて、みんな重要、大体。

卓爾:なるほど。

諏訪:ちょっと似てますね、そういう意味では。

卓爾:似てますね。

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