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2018/03/07

公開間近!第24回PFFスカラシップ作品『サイモン&タダタカシ』小田学監督スペシャルインタビュー掲載

20180307-01.jpg1984年にスタートした「PFFスカラシップ」の第24作目となる『サイモン&タダタカシ』を完成させた小田 学監督。
2006年に劇団「兄貴の子供」を旗揚げし舞台演出家としても活躍中の小田監督が、「PFFアワード2014」でジェムストーン賞を受賞し、本作の企画から公開までの初めてづくしの経験を赤裸々に告白します。映画評論家のモルモット吉田さんによる小田監督人生初の単独インタビューです。


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――小田監督は日活芸術学院演出コースの出身だそうですが、映画の学校を選んだきっかけは何ですか。
小田 もともと映画には全く興味がなかったんです。海の家で一緒にバイトをしていた人の中に、日本映画学校(現・日本映画大学)の学生がいたんです。海辺で脚本を書くようなチャラい人で、その人がなんかモテていたんですよ。それをカッコイイと思っちゃって、映画やるとモテるのかと。そのうち、「もし、日本映画学校に受かったら、俺が持ってる車をやるよ」と言われて。


――それがきっかけで日本映画学校を受けたんですか?
小田 はい。でも、4回受けてみたんですが、4回とも落ちました。それで日活芸術学院(2013年閉校)に入ったんです。その後、その先輩とは一緒に住んでいたんですよ。映画やナンパのノウハウを教わりました。ただ、僕がシモキタでナンパした女の子とうまく行っていたのに、家に帰ったら先輩と彼女がやっていたことにショックを受けちゃって。そこからギクシャクしましたね。もう家を出ると言ったら、先輩にすごく冷たくされて......。最終的に新宿ゴールデン街で投げ飛ばされました。


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――PFFへ最初に応募したのはいつですか。
小田 2005年に30分ぐらいの『塩鮭』っていうコメディを出しましたが、その時は一次審査しか通らなくて。その年の入賞作品を全部観たんですけど、確かにコメディみたいなものはなくて、PFFは自分には関係のない世界なのかなと思いました。


――それが、「PFFアワード2014」では『ネオ桃太郎』が既存の概念に囚われずに作られた作品に贈られるジェムストーン賞を受賞しました。
小田 あの時も、したコメ(したまちコメディ映画大賞)だけ受かれば良いなと思っていたんですけど。アニメーションを作っている岩井澤健治君が「PFFも出してみれば?」と言ったので、記念受験的に出したんです。一次審査も通らないだろうなと思っていたから賞を貰えてラッキーだなと思いましたけど。


――入選したことで、「PFFスカラシップ」への挑戦権を得たわけですが、『ネオ桃太郎』の段階で次回作は長編で「ゲイのロードムービーを構想中」と明かしていましたね。
小田 200万ぐらい貯めて、『ネオ桃太郎』に出ている3人で、男どうしの3人旅みたいなことをやりたいなと思っていたんです。でも、結局、その企画は脚本にはしてないんですけど。


――『サイモン&タダタカシ』は、その延長にあるのかなと思いましたが。
小田 書いたのは男同士の結構真面目なロードムービーで、片方の男の子はもう片方の男の子を好きという話でした。で、プロデューサーからこの話で一番やりたいポイントは何?と聞かれ、男の子を好きになる男の子の切ない思いです。と言ったら、「インパクトがない、他に何かやりたいことはないの?」と聞かれ考えました。
舞台ではバンドマンが夢を諦めるというシーンで実際に6mの腕を作って、2mくらいのCD-Rでぶった切るという演出で表現したりと結構派手な事をやってきたので、それと映画でやってきたことを融合させた方が面白くなるんじゃないかと思い、「ケンタウルスを出したい」と漠然とあったイメージを言葉にすると「すごくいいアイディア!」と言われ、とてもバカらしい、宇宙規模の壮大な話に脚本が動き出しました。


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――スカラシップでは、商業映画と同じように、プロデューサーとマンツーマンで脚本をつくりあげていくだけに、これまでとは勝手が違ったのでは?
小田 自主映画を作っているときは自分ひとりでやっていたので、誰に何を言われるわけでもないから、自分が良いと思ったらOKなんですよ。脚本にしてもだいたい第一稿でOKなんです。今回は一応10稿ぐらいまで書き直して。脚本に向き合えば出て来る部分もあるんだな、みたいなことは思いましたから、それが今回やれたことの一番大きい部分ですね。


――プロデューサーたちから様々な意見が出てくると、迷いませんでしたか?
小田 最初はそういう意見を取り入れて、ちゃんとしなきゃいけないんじゃないかと勝手に自分で思っていたんです。ある時から、「うるせえな!」と思うようにしたら、大丈夫でした(笑)。全員の意見は聞かなくていいんですよ。でも、他人の意見も大事だなと思う部分もけっこうあるので、そこに自分の色を混ぜた方が上手くいくこともあるなと思いましたね。


――冒頭からアニメもあれば、UFOもミニチュアで出てくるだけに、脚本段階で実写とアニメの割り振りも考えていたんですか。
小田 はい。アニメーションとジオラマは最初からやりたいと思っていたので。ケンタウルスはお金があったら実物を出したいと最初は言っていたんですが、そこはアニメになりました。基本的にUFOもジオラマも飛び道具じゃなく、あの映画の世界の中では普通な感じで観てもらえれば良いなと思っていましたね。


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――アニメーションの岩井澤健治さんには、どの程度具体的にイメージを伝えるんですか。
小田 イメージだけ言うんです。こんな感じでと言ったら「分かった」って。岩井澤君は「分かった」しか言わないんです(笑)。彼は、基本一人で作業しなきゃいけないので、時間がなかったから大変だったと思います。


――サイモンとタカシの男同士の友情とも恋愛ともつかない関係性が面白いですね。
小田 僕自身、男が好きなんだか、女が好きなんだかよく分からない時期もあって。だから、この映画の設定は頭で考えたというより、体験を書いたと言った方が近いかも知れないですね。でも、サイモンを演じた阪本一樹君には、どうやって伝えればいいのかなって思いながら一から説明しましたけど。阪本君には泣くシーンがあったんですけど、「タダタカシのことを思ったら泣けました」みたいなことを彼が言ってくれた時に、すげえ感動したっていうか、ちゃんと伝わったんだと思いましたね。


――阪本さんは、演技未経験で初主演という高い壁へ挑むことになりました。
小田 撮影前に10日ぐらい稽古したんですが、とにかく喋ろうと。台詞はどうでもいいから、一緒に喋ろうということをメインにしていました。阪本君と助監督と3人でチームみたいな感じになろうと。僕以外にもうひとり味方が現場にいれば、初めての演技でも阪本君はやり辛くならないんじゃないかなと思ったんです。


――3人のチームワークは撮影中どうでしたか。
小田 上手くいきました。結局、現場では僕が付きっきりになれないので、阪本君は助監督を頼ることになるので。でも、阪本君は僕よりも助監督と仲よくなって、それに僕が嫉妬するみたいな状況になってしまって、何なんだよ、みたいな(笑)。


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『サイモン&タダタカシ』劇中写真
(C)2017PFFパートナーズ(ぴあ ホリプロ 日活)

――須賀健太さんは、阪本さんを含めて全てを受け止めてくれる感じがしますね。
小田 須賀さんは、そうじゃないみたいなことを言うと、直ぐにパンパン切り替えてやってくれました。阪本君もそれに感化されたところがあったと思います。ロケ先の都合で予定が狂った時に僕がけっこうパニクってしまって、須賀君に「俺、よく分かんなくなっちゃった」みたいなことを言ったら、すごくフォローしてくれて。あの時は助かりましたね。


――スタッフでは、撮影の鈴木周一郎さんも日活芸術学院出身ですね。
小田 同級生ではあるんですが、知り合いぐらいの関係でした。この映画を撮る前に、予行演習じゃないですけど、乃木坂46の伊藤かりんさん&川村真洋さんのPV『アイスティーガール』を、鈴木君と組んで撮ったんですよ。その時に新しい発見がかなりありました。鈴木君と一緒にやると、教わることが多かったですね。僕が思っていることに否定じゃなくてプラスアルファにして返してくれるので、すごくありがたかったです。


――完成作品を観て、どんな印象でしたか。
小田 2017年の9月に「第39回PFF」で上映した時は、編集していた時と違う感じはしなかったんですが、昨日改めて観たときは、こういう男どうしの話は好きだなと思いました。自分っぽい映画だなと(笑)。


――今後、やりたい企画はありますか。
小田 自分の家族の話をやりたいなと思っていて。今、僕は「継父」という状態らしいんですよ。女子高生の子供がいるバツイチの人と結婚したので。その関係性も含めて面白いんです。今、ずっとこの状況をメモっていて、映画に出来たらなと思っています。


――いよいよ『サイモン&タダタカシ』の公開が迫ってきましたが、公開を前にした今の心境は?
小田 とにかく感想を聞きたいですね。いろんな人から、どんな感想が聞けるのか楽しみです。


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モルモット吉田さんと

取材・文:モルモット吉田
撮影:藤島 亮


『サイモン&タダタカシ』
3月24日(土)より、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
【公式サイト】

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