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PFFディレクターBLOGRSS

2012/12/01 18:40:09

東京フィルメックス

あっというまに、明日の閉幕となった東京フィルメックス。
今は、もう、コンペの結果が発表され、バフマン・ゴバディ監督の『サイの季節』の上映が行われているのでしょうが、本年も「コンペ作品全鑑賞」目標は達成できず、表彰式と一体となったこの回のチケットは事務局スタッフに使ってもらうことにして、溜まった仕事に取り組んでいる私です。

今回は、ゴバディ監督の姉、ナヒード・ゴバディさんとパートナーのビジャン・ザンマンビラさんの監督作品『111人の少女』がコンペに出品されています。この作品は、10月の釜山でもコンペに出品されており、残念ながら拝見できなかった私は、フィルメックスで必ずみようと心に決めていたのですが・・・・

実は釜山で、私と鶴岡慧子監督の『くじらのまち』組と、ゴバディご夫妻とお子さん一家の『111人の少女』組は、映画祭クロージングのレッドカーペットを歩けなかったのです。
昨年、釜山に参加した、『ダムライフ』の北川監督が、映画祭レポートに「別の通路に案内され、レッドカーペットを歩けなかった」体験を記していましたが、それと同じことを体験したのでした。
クロージングセレモニーへ向かうバスに乗せられ、バスを会場入口脇で降ろされ、入口で待つ映画祭ディレクターやチェアマンなどに迎えられ、会場に入るところで、左に向かう通路をゴバディ一家のあとについて歩いて行き、名前の貼られた席につきましたが、他の監督たちが全然来ない。
あれ~?と思いながら、暫く談笑していたのですが、ゴバディさんが、突然「あら?もしかしたら私たち、レッドカーペットへの道ではないところを来てしまったんじゃない?」と叫び、あ。そうかも、と気づいたら、続々とカーペットを歩くゲストの姿が巨大なスクリーンに映し出されはじめたのでした~~~~!!!
正直いって、私は、この長い長いレッドカーペットを歩み、このありえないほど大きなスクリーンに映るということがなく済んだことに、大変ほっとしたのですが、鶴岡監督は貴重な体験を逃すことになって、申し訳なく感じながら過ごすセレモニーでした。
そんな、失敗談を共有した『111人の少女』なのに、みてないなんて、と反省中。
*皆様、今後の体験のために、釜山ではクロージングセレモニー入口で、右に行くとレッドカーペットコース、左は、そのまま客席に続くのですよ!

それでも、フィルメックスで拝見できた映画もありました。
振り返ると何故か中国映画がそろって、我ながらびっくりしています。ワン・ビン『三人姉妹』、ハオ・ジェ『ディエダンのラブソング』、エミリー・タン『愛の身替わり』、ソン・ファン『記憶が私を見る』。あと1本、チョンジュプロジェクトのなかのイン・リャン『私には言いたいことがある』を明日みることができれば、ともかく中国映画は全部みたことになるのでした。

釜山でジャジャンクー監督と話したとき(『記憶が私を見る』のプロデューサーとして参加しておられました)「プロデュースにちょっと飽きたので、次は自分が監督」と言っておられたのですが、今回、ソン・ファン監督が「プロデューサーは撮影には口を挟まず、ポストプロダクションで色々な意見を出す」と答えていたときに、前作もそうだったなあと、思い出しました。
再撮影も厭わない、完璧主義の強烈なプロデューサーだそうです。ジャジャンクー。
ですが、その話はまた。

今回上映された中国映画で、公開が決定している『三人姉妹』。
これはもう、またしても必見作品ですね。
「人間は労働力である=牛馬と同じである」ことを、正視させられます。
朝から晩まで働きづめに働くとはどういうことなのか。頭を垂れます。
「勉強なんかして」となじられ、「笑う」ということを知らず、変な咳をしても誰にもケアされない小学生。それを撮影するクルーの胆力に、茫然としながら、この作品が居住しながら撮影されたのではなく、別の場所への移動の過程を使って、分断して撮られたものであることを聞き、少し、納得しました。
人間の可能性を伸ばすことの可能な環境や状況の見つけにくい場所を前に、どうすればいいのか・・・と思いながら、彼らの一年分かもしれない収入を一夜で使うかもしれない私たち・・・・ワン・ビン作品からは、やはり目が離せません。

邦画のほうは、公開の決定している作品が殆どなので、見逃した作品は後日拝見するとしても、群青いろの作品(今回は『あたしは世界なんかじゃないから』です)は見ることが困難です。どこかで、群青いろ作品一挙上映企画実現をと、考え始めています。
『おだやかな日常』の内田伸輝監督が、開口一番「『エピローグ』が圧倒的に凄い!『記憶が私を見る』もすごい!」と興奮していました。おやおやコンペ監督なのに、言うなあ~と面白がっていたのですが、その『エピローグ』見逃してしまい、とても残念です。初監督で老人の物語。ヘルマン・ヘッセみたいだなあと、ふと思いました。
ともかく、これから、賞の行方をチェックしてみたいと思います。

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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