

「この人がいたから、拓かれた道がある」
多くの作家たちにこの言葉を言わせる2人を追悼します。
インディペンデントであることを生涯で示した
お2人のほんの一部をご紹介するものではありますが、
プログラムをつくりました。
感動を行動に繋げ、絶え間なく重ねていくことの
面白さを伝えてくれた2人です。
ユーロスペースの堀越さんと言えば、軽々と国境を越えた人。数々の不可能を可能にした人。
代名詞のようなカウリスマキ、カラックス、キアロスタミ、シュミットという名前も眩しいワールドワイドな人。
今回PFFでは、そんな堀越さんの「初めて」をプログラムします。
初めてのプロデュース作品は山田勇男監督『アンモナイトのささやきを聞いた』。
デジタル化されたばかりの本作を上映し、上映後に撮影現場をよく知る、
主演のサエキけんぞうさん、撮影監督の麻生榮一さん*をお迎えし、お話を伺います。
もうひとつのプログラムは、堀越さんが実現された東京藝大大学院映画専攻の創設に関連して。
映画大国で唯一国立の映画大学がない、という長年の世界の謎を粉砕し迎えた学生の卒業制作を劇場公開した、
その初体験をプログラムにします。
また、その才を深く愛した真利子哲也監督に、卒業制作『イエローキッド』が、如何に劇場公開されたか。
公開版と卒制版の違いに触れながら、堀越さんとのやりとりを語っていただきます。
*公開当時の作品クレジットには「麻生知宏」と書かれていますが、
近年は「麻生榮一」のお名前で活躍されていることから、ご本人の了解を得て、このサイトでは「麻生榮一」と表記することにしました。
追悼 ・堀越謙三①
9/23(水・祝)17:30~ OZUホール
1992年/日本/70分/カラー/フィルム上映
それは、新たな宮沢賢治の幻想
宮沢賢治と妹トシの関係にインスパイアされた映像ファンタジー。美術感覚あふれる夢のイメージが連なり、セリフによらず音楽のみで人物の感情を表現。従来の日本映画とは一線を画す、愉しいアート感覚の作品。
監督・脚本:山田勇男
製作:堀越謙三/撮影:麻生榮一/音楽: サイモン・フィッシャー・ターナー
出演:サエキけんぞう、石丸ひろ子、藤田哲也
追悼 ・堀越謙三②
9/22(火・祝)15:00~ 小ホール
2009年/日本/106分/カラー/デジタル上映
現実と漫画が交錯する、衝撃のデビュー作
ボクシングに衝動をぶつける若者と、彼をモデルに描く漫画家。二人の世界が交錯し、物語は予測不能な狂気へと加速する。東京藝術大学大学院の修了作品が、異例の劇場公開。トークでは公開時の別バージョン制作の秘話も!
監督・脚本:真利子哲也
プロデューサー:原 尭志/撮影:青木 穣
出演:遠藤 要、岩瀬 亮、波岡一喜
イギリスの映画研究家、批評家、映画祭プログラマー、映画作家として、
東アジア映画の紹介を生涯貫いたトニー・レインズ氏は、
学生時代から自主映画制作と上映会企画、映画批評の活動を続け、溝口健二への感動から、
日本への映画探訪一人旅を繰り返し、日本の8ミリ自主映画を発見。
熱狂し、世界への発信を続けました。
後年、北野武と三池崇史を発見し世界に伝えたことは、ことに有名です。
また、中国ではジャ・ジャンクー監督、韓国ではポン・ジュノ監督の発見者としても著名です。
PFFでは、80年代から数えきれないほどの作品を世界に紹介し続けてくださったこと、
若い映画人へのサポートの数々には、感謝を伝えても伝えきれません。
今回は、2つの緊急プログラムで、追悼します。
氏の最愛の溝口健二監督作品『愛怨峡』と、80年代の日本で、最も熱狂した長崎俊一監督の『闇打つ心臓』。
もうひとつは、90年代熱狂作として三池崇史監督の『オーディション』と21世紀の平林勇監督の短編集。
どちらもゲストをお迎えしてのアフタートークを計画しています。
追悼・トニー・レインズ①
9/20(日)17:00~ 小ホール
1937年/日本/89分/モノクロ/フィルム上映
メロドラマを超えた独自の女性象
旅館の一人息子の謙吉と女中のおふみは駆け落ちするが、謙吉は貧乏に耐えられずおふみを残して逃げてしまう。トルストイの『復活』を、力強く生きる女性の姿を描いた物語として再構成した点が海外でも評価された。
監督:溝口健二
脚本:依田義賢、溝口健二
出演:山路ふみ子、河津清三郎、清水将夫
1982年/日本/72分/カラー/デジタル上映*原版:8ミリ
自主映画の金字塔 伝説の8ミリ映画
自分たちの幼い子供を殺して逃げる若い男・リンゴォと女・伊奈子。友人である島本の斡旋で空きアパートの一室に転がり込む2人だが、犯してしまった過ちに苦しみ、もがき、自分自身に追い詰められていく…。
監督・脚本:長崎俊一
撮影:武藤起一/助監督:諏訪敦彦
出演:内藤剛志、室井 滋、諏訪太郎
1985年/日本/13分/デジタル上映*原版:16ミリ
記憶をめぐるウィットに富んだ考察
『闇打つ心臓』がロンドン映画祭に招待された機会に制作された未公開短編作品。映画祭に招かれてホテルに滞在する主人公が、長い間行方不明だった恋人を求めてロンドン中を探すというフェイク・ドキュメンタリー。
監督:長崎俊一
追悼・トニー・レインズ②
9/26(土)16:30~ 小ホール
1999年/日本/115分/カラー/フィルム上映
世界を驚愕させた戦慄のホラー
魔性の女に翻弄される恐怖を描いたサイコホラーの傑作。トニー・レインズと当時のディレクター、サイモン・フィールドがロッテルダム国際映画祭で紹介し、三池監督が一躍国際的に注目されるきっかけとなった。
監督:三池崇史
原作:村上 龍/脚本:天願大介
出演:石橋 凌、椎名英姫、國村 隼
3大映画祭を制覇した天才!
2003年/日本/11分/カラー/デジタル上映
『PENIS』と同じく、テキストをアプリに読ませて音声データ化して人工的な声で読み上げる3つのまったく違うストーリー。トニー・レインズ氏は本作をイギリスの映画雑誌「Sight and Sound誌」の中で映画史のベスト10に選んだ。
監督:平林 勇
2002年/日本/3分/カラー/デジタル上映
平林監督の初の自主映画作品。わいせつ罪で9回も逮捕された犯罪者がその欲望と狂気を淡々と独白する。日本の検閲を象徴しているモザイクのかかった男根と機械的な語り口がどこかシニカルなユーモアを感じさせる。
監督:平林 勇
2011年/日本/8分/カラー/デジタル上映
「戦後66年の3月11日に起きた4基の原発の事故」を指すタイトルのこの作品は、戦後66年間を過ごした土の中から出てきたセミが、地震や津波、放射線の被害を受けながらも土地に愛着を抱いて生きる物語。
監督:平林 勇
音楽:渡邊 崇/効果音:飯嶋慶太郎