

世界中でアーカイブ活動が絶え間なく行われています。
日本国内でも各地でユニークな活動が
続いていることを、今年は改めてプログラムします。
「映画に記録されたものって、
作品が完成した時点で既に過去なのに、
何故、今、リアルな我々へ、こんなにも届くの?」
そのタイムマシーンのような
映画の謎にも迫るプログラムになりました。
「PFFアワード」に応募される自主映画は、20世紀は8ミリフィルムで撮影されていました。
デジタルでの保存を進めることで、その時にしか撮れなかった、あの人が、あの街が、あの想いが、
次代に繋がる「映画の永遠性」をPFFアーカイブはつくります。
映写機を使ってフィルムでのスクリーン上映しかできない時代の自由な映画=自主映画ですから、
会場での上映が、ほんとうの一期一会。
現在でも「配信や公開の予定ゼロ」の輝く青春を体験してください。
そして今年も、ハーバード大学の新たなコレクションをご紹介します。
貴重な作品しかないプログラムです。
日芸の衝撃! ヒーロー誕生!
9/19(土)12:00~ 小ホール
1978年入選/67分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
監督デビュー50周年記念上映!
8ミリ『高校大パニック』で監督デビュー以来、今年監督生活50年を迎えた石井監督。故郷・博多を舞台にチンピラの抗争劇をアクション満載で描いた傑作を記念上映。主演の志水正義は長らくドラマ「相棒」の大木刑事役として活躍。
監督・脚本:石井聰亙(岳龍)
撮影監督:伊藤敏朗/音楽:シャイニー/製作:狂映社
出演:志水正義、中村ジョー、泉谷しげる
伝説の映研、
立教パロディアス・ユニティ
9/19(土)14:30~ 小ホール
1982年入選/日本/49分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
過ぎ去った未来からの警告
過去や未来を映し出すフィルムに映ったのは、「No.9」と呼ばれる科学者に支配された1999年の世界だった。モノローグとフッテージを駆使した大胆な構成が光る、実験精神溢れる近未来サスペンス。
監督・脚本:笠原幸一
製作:立教大SPP、パロディアスユニティ、KOCHIプロ
協力:万田邦彦、浅野秀二、黒沢 清
80年代の高校生
9/20(日)12:00~ 小ホール
1982年入選/日本/42分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
初恋は、筋書き通りに?
恋愛小説『レモン色の恋』に憧れた高校生の正人は、本をなぞるようにミーコとの恋を育んでいく。しかし、本のラストは“別れのファーストキス”で―。初な恋愛模様を瑞々しく描いた青春群像劇。
監督・脚本・撮影:関 顕嗣
出演:内田秀和、山本由美子、井上理恵
1985年入選/日本/22分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
彼岸に咲く、珠玉のファンタジー
記憶を失った少年は人がいなくなった街で、赤い花を売る不思議な少女と出会う。「花はいらんかえー」と響く歌声が少年を幻想の世界へと誘っていく。美しさと生の儚さを静かに問いかける、忘れがたい幻想譚。
監督・製作・脚本:仲田伊作
撮影:仲田伊作、横井左奈、増田 仁
出演:仲田伊作、横井左奈
幻のPFF初期入選作品
9/22(火・祝)18:30~ 小ホール
1977年入選 /47分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
男女の切ない出会いの行く末は?
斎藤耕一監督『約束』を彷彿とさせる若い男女の淡い恋愛映画。高校卒業時に本作を発表後、監督はあきる野市役所に勤務しながら、自主映画や市制記念映画等を制作。1985年にはあきる野映画祭を立ち上げ、30年以上に渡り携わるも昨年ご逝去。
監督・脚本・音楽・撮影:小林 仁
出演:中村洋美、根石 勉、浜中恵子
1978年入選 /51分/カラー/デジタル上映 *原版:8ミリ
PFF初の観客賞受賞作
好きな女性に出した偽りの手紙が引き起こす、郵便配達員のほろ苦い恋愛顛末記。オリジナルの豊かなストーリーや出演者たちが織り成すコメディタッチの作風が評価される。当時の渋谷、原宿等の街の佇まいに興趣が尽きない。
監督・脚本:高橋浩一
撮影:五島泰嗣/助監督:宮崎公彦
出演:田川 尚、本村由紀子、大山さい子
ハーバード大学・
自主映画アーカイブ
9/20(日)14:15~ 小ホール
1969年/67分/モノクロ/DCP上映 *原版:16ミリ
大阪の労働問題を描く前衛ドキュメント
伝説的な日大映研出身で、社会運動の映像表現を切り開いた康 浩郎監督作品。万博前夜の大阪。神秘的なむち打ち症に悩むタクシー運転手が労組の支援を受ける姿を通し、高度成長期の社会の歪みを描く前衛ドキュメント。
監督・脚本:康 浩郎
制作:安西清尚/撮影:吉国秀幸/企画制作:大阪自主映画センター
出演:清水克彦、劇団道化座、集団ザ・プレイ
1984年/ 24分 /カラー/ DCP上映 *原版:8ミリ
自己存在を問う、16才の意欲作
1985年PFFで大島渚に高く評価された、16歳の七里圭監督のデビュー作。人の身体が点滅し消えていく奇病が広がる日本。その対策は、なぜか踏み台昇降運動? 体制順応する社会に疑問を呈す、独特で実験的センス溢れる傑作。
監督・製作・脚本・撮影・編集:七里 圭
撮影:丸山 敦/製作:Cinema・Creative・Club
出演:武藤 誠、三竹暢彦、岩崎ひとみ
ユニークな個性が煌めく国内外の多くのアーカイブから、国内4つの活動をご紹介します。
世界一と呼んでいいアジア映画の収蔵を誇る「福岡市総合図書館」は、インディペンデント映画の収集活動も活発です。「京都文化博物館」といえば時代劇。京都のスタジオ撮影を現在にも継続するワークショップも行っています。「アテネ・フランセ文化センター」は、小川紳介監督作品のデジタル化を進めています。映画美学校と共催するドキュメンタリー・ワークショップも充実です。各プログラムとも上映後に、福岡、京都、アテネ・フランセ文化センターからゲストをお迎えし、その活動をお話いただきます。
そして、PFFの会場で、9万本以上のフィルムを所蔵する「国立映画アーカイブ」では、収蔵する圧倒的量の作品から黒沢清監督が推す3作品を上映し、「映画の中で人が歌い出すと何が起きるか」を特別講演してくださいます。
どのプログラムも、他では聞けないトークとともに、充実の時間をお贈りします。
福岡:福岡市総合図書館①
9/19(土)17:00~ 小ホール
1961年/日本/モノクロ/16分/デジタル上映*原版:16ミリ
16ミリの挑発的短編をDCPで!
日大新映研の足立正生が『椀』(=1)で学生映画祭大賞を受賞した1961年、京大映画部の田辺泰志は『む』(=0)でそれに対抗した。実験映画の歴史に強烈なくさびを打ち込んだ偏差値70の狂気。
監督:田辺泰志(京大映画部)
1972年/日本/モノクロ/102分/デジタル上映*原版:35ミリ
ロングランした幻のアングラ映画
1960年代から70年代初めにかけて思春期を過ごした一人の男の年代記を、「性」にのみ焦点を当てて描いた異色の青春映画。学生運動が高揚した時代に、何ら確固たる意志を持とうとせず流されていく男の物語。
監督:田辺泰志
出演:吉沢 健、吉田日出子、殿山泰司
福岡:福岡市総合図書館②
9/22(火・祝)12:00~ 小ホール
2025年/日本/98分/カラー/デジタル上映
映画を愛し、世界を旅した情熱
映画評論家・佐藤忠男氏のドキュメンタリーは、世界随一と言えるアジア映画の収蔵数を誇る「福岡市総合図書館」の紹介でもあることに驚く。そのコレクションは、佐藤氏が初代映画祭ディレクターを務めた、福岡市主催「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」(1991~2020開催)のプログラミングの旅から始まる。氏の驚愕した『魔法使いのおじいさん』をキーワードに、寺崎監督は南インド・ケーララへと旅する。
監督:寺崎みずほ
撮影:大久保千津奈/編集:遠山慎二/録音:姫井信二
出演:佐藤忠男、秦 早穗子、イム・グォンテク
製作・配給:グループ現代
京都:京都文化博物館
9/24(木)16:00~ OZUホール
1968年/日本/167分/カラー/フィルム上映
豪華キャストが織り成す歴史絵巻
応仁の乱後の荒廃した京都を舞台に、京町衆が武士階級に対抗して自らの手で町を守り、祇園祭の復興に挑む姿を描いた壮大な時代劇。圧巻の山鉾巡行シーンは、エキストラ1万人以上の群衆が参加して撮影が敢行された。
監督:山内鉄也
企画:伊藤大輔/原作:西口克己
出演:中村錦之助、岩下志麻、三船敏郎
2024年/日本/カラー/7分/デジタル上映
ワークショップから生まれた傑作
役人を暗殺した浪人が恩賞を得るため長屋に赴くが、いたのは子分だけだった。親分を待ちながら酔った浪人に、子分は面白い言い伝えのある石を見せる。しかし、その石にはある重大な秘密が隠されていた。
京都フィルムメイカーズラボ作品
東京:国立映画アーカイブ
9/25(金)14:00~ OZUホール 国立映画アーカイブ、クラウドファンディング実施中! 9/23(水)まで
1939年/日本/69分/モノクロ/フィルム上映
殿様も歌い踊る和製ミュージカル
長屋で暮らす可憐な町娘と骨董好きの父、そして娘が恋心を抱く浪人らが繰り広げるコミカル時代劇。片岡千恵蔵、志村喬らがモダンなジャズミュージックに合わせて歌い踊る、底抜けに明るい和製ミュージカルの逸品!
監督:マキノ正博
脚本:江戸川浩二/撮影:宮川一夫
出演:片岡千恵蔵/市川春代/志村 喬
1955年/日本/94分/モノクロ/フィルム上映
★オリジナル可燃性ネガから作製された、美麗なプリントで上映します。
その夜、酒場は人生の縮図だった
場末の大衆酒場を舞台に、そこに集う人々が織り成す悲喜こもごもの人間模様を音楽を織り交ぜながら実験的なスタイルで描く異色の群像劇。ワンセットの空間に戦後社会の縮図が色濃く浮かぶ。内田吐夢の戦後復帰第二作。
監督:内田吐夢
脚本:灘 千造/撮影:西垣六郎
出演:津島恵子、野添ひとみ、小杉 勇
1967年/日本/103分/カラー/フィルム上映
大島渚監督が即興的な手法で大胆に描く
大学受験のため上京した若者たちは、試験場にいた、ある女子受験生に魅力を感じ、幻想を追いかけていく。青春のエネルギーと性欲を持て余した若者たちを即興的な演出で描き、やがては歴史を呼び覚まし、国家の虚構性をも解体していく。
監督:大島 渚
脚本:田村 孟、佐々木 守、田島敏男
出演:荒木一郎、小山明子、田島和子
東京:アテネ・フランセ文化センター
9/26(土)12:00~ 小ホール
1973年/日本/146分/モノクロ/デジタル上映*原版:16ミリ
闘争の背景にある農民たちの時間
成田空港建設に反対する農民や学生たちの闘いの記録。長期化する闘争の中で、青年たちの逮捕や人間関係の分断にさらされる農民たちの日常会話や話し合いに焦点をあて、シリーズの転換点となった作品ともいわれる傑作。
監督:小川紳介
撮影:田村正毅
<観る前に読もう!>
「特集 小川紳介と土本典昭」
講演:佐藤 真(映像作家)
アテネ・フランセ文化センター公式サイトより