

【特集企画部門】
世界が驚く日本の8mm映画たち
日本には「8mmフィルムで長編映画をつくる」という
独自の映画文化の勃興がありました。
これは、現在の「PFFアワード」に繋がる、
日本の新しい映画誕生の大きな流れです。
また、8mmフィルムでつくられた
自主映画をデジタル化する活動が海外にも広がっています。
自由だぜ!80年代PFF入選作品
伝説の映研 早大シネマ研究会
上映:9月6日(土)17:15~ 小ホール
ゲスト:島田元監督、高城千昭監督


リトル・ウィング
1982年入選/70分/カラー/デジタル上映
監督・脚本・撮影:島田 元
出演:坂東信弘、小林久美子、宮本麻代

寺山修司が激賞した、妄想青春物語
漫画家を志す主人公が「つげ義春選集」を携えて、旅に出る。恋人や友だちとの関係、日々の暮らしに思いを馳せる姿を、ユニークな語り口と鮮やかな映像で描く。タイトルは、夭折したジミ・ヘンドリックスの名曲に由来。
どてらワルツ‘81
1982年入選/48分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:高城千昭
脚本:鈴木孝光/撮影:倉田圭ニ
出演:横手 聡、鈴木孝光、沢村聖子
映画の文体を解体しつつ、
不思議に優しい物語
ユニークな冒頭部分から、カメラは開発が進む1980年代はじめの新宿・代々木界隈へと。ふと出会った女子高生と、2人の男性。変わっていく3人の、緩くて優しい絡みあいは「自在に飛翔する空間感覚」と激賞された。
地方からの衝撃!北海道編
上映:9月7日(日)12:00~ 小ホール
ゲスト:森永憲彦監督、吉雄孝紀監督


爆 BACK
1982年入選/45分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:森永憲彦
撮影:大谷正人/照明:武田 了
出演:宮沢春行、戸田守道、新保恭子

出口なし。切羽詰まった青春を
パンクロッカーが演じる
軍事政権に弾圧された韓国の反体制詩人・金芝河の詩にインスパイアされ、雪に覆われた冬の札幌を舞台に、高校をドロップアウトした暴走族の若者の焦燥を鮮烈に描き、長谷川和彦、寺山修司両氏に推奨された意欲作。
大麻じゃなくても良いけれど
1986年入選/86分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:吉雄孝紀
制作:進藤良彦/撮影:中松俊裕
音楽:佐藤昭彦、中島省吾、角野 彰/美術:伊藤隆志
出演:下重義人、阿部和彦、井上 哲
創作アイデアの宝庫!
10代の傑作登場
18歳の現実に苛立ちや空しさを覚えつつ青春を疾走する3人の高校生の3日間を、ある家に生える大麻を盗もうとする企みを軸に、麻雀、ナンパ等様々なエピソードを交えて、当時19歳とは思えない構成力と、映像センスで活写。

地方からの衝撃!仙台編
上映:9月7日(日)16:00~ 小ホール
ゲスト:常本琢招監督
吊首姦太郎の青春
1984年入選/36分/カラー/デジタル上映
監督・制作・脚本・撮影:クマガイコウキ
撮影:高橋里実
出演:栗原千波留、三浦 茂
仙台の才人クマガイコウキ。
詩人のこころが溢れ出す
惜しくも2023年に逝去されたクマガイ監督の入選作。字幕による会話と、スチルと実写により、私の切ない物語が綴られる。コマ伸ばし等の実験的な手法を用いた瑞々しい映像と、抒情的な音楽が心地よく浸透してくる。
にっぽにーず・がーる
1985年入選/60分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:常本琢招
脚本:気仙正明/撮影:徐瀬倍六、杏里あるか
製作:Golden Partners Company
出演:中森裕美、桜井順子、原田摂子、小窪 郁、石沢志折
走る、走る、走る!女性が“生きる”
先駆的自主映画
ふたりの女性が拉致されたボーイフレンドを探す追跡劇。軽快な長回しの移動撮影が多用され、登場人物の得体のしれない寡黙な雰囲気が、独特な味を醸し出す。80年代当時としては貴重な女性目線の世界観が光る。

究極の
エンタテインメント自主映画
上映:9月13日(土)12:00~ 小ホール
ゲスト:小松隆志監督
いそげブライアン
1986年入選/67分/カラー/デジタル上映
監督・制作・脚本・撮影:小松隆志
撮影:蟇田忠雄
出演:伊藤裕康、村越壮希、木名瀬幹子、柚木理恵
驚異的情報量で観客を魅了し、
劇場公開を実現
ブライアンとチャーリーの最強タッグが別れ、対照的な人生を歩む。その生き様をプロレス、SF、ロックへの造詣を元に、絶え間ないモノローグと、たたみかけるイメージによって疾走感豊かに描き、熱狂的ファンを生んだ。
肉体労働者が空を飛ぶ時、
窓ぎわのコーちゃんに恐怖の暗躍団が迫る!!
1984年入選/85分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:西尻幸嗣、内田勇治
撮影:宮西 昭/製作:Y.Y PRODUCTION
出演:上山 努、田中由里花、井川雅智、松本直樹、
渡辺正俊、中山顕一
圧巻の映画愛が炸裂する85分。
いつでも何度でも面白い!
内気な浪人生コーちゃんが、恐怖の暗躍団相手に活躍する。スーパーマン、インディ・ジョーンズ等の娯楽映画をパロディに、スタントマン顔負けのアクションシーンが楽しい、自主映画では貴重なエンタテインメント作品。
ハーバード大学・自主映画アーカイブプログラム
伝説の自主映画登場!
上映:9月11日(木)18:30~ OZUホール
ゲスト:手塚眞監督 ほか予定


MOMENT
1981年/75分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:手塚 眞
撮影:今関あきよし
出演:矢野ひろみ、今井 萠、斉川由美、西村良明、
小林ひろとし、船越栄一郎

画面のスミまで青春のイタズラ!
手塚眞8ミリ代表作
「漫画をそのまま映画にできないか?映画の魅力を全部詰め込んで!」生まれたチャーミングでカオティックな学園メルヘン。受験の合間に一夜で書き上げた伝説のシナリオを自ら映画化した自主映画の金字塔。
アーカイブ短編集
協力:Underground Cinema Festival
上映:9月13日(土)16:00~ 小ホール
ゲスト:アレックス・ツァールテン氏(ハーバード大学教授)


トワイライツ
1994年/33分/カラー/デジタル上映
監督・編集:天野天街
出演:石丸だいこ、月宵水、珠水、とろろ、田村映子、
イトウマユミ、姫子

世界にNAGOYAを魅せつけた、
奇想天街ワールド開幕!
劇団「少年王者舘」主宰、天野天街の初映像作品。死を受け入れられない少年が街と時間を彷徨う様を、スラップスティック調のリズムで描く。独特の身体表現と映像美でオーバーハウゼン国際短編映画祭グランプリ獲得。
天地衰弱説第二章
1970年/38分/モノクロ/デジタル上映
制作:グループ・ポジポジ(磯貝 浩、後藤和夫、橋本和夫、福岡杉夫、福田健一、堀越一哉)
他人の映画を論じていたはずが、
気づけば自分を語っていた。
スーパー高校生映像集団「グループポジポジ」が卒業後、大島渚との邂逅を経て構想した意欲作。映画を遺書にして死んだ男をめぐり、仲間たちが死と映画について語り続ける。若さと問いが交錯する“第二章”。
Improvisation
1979年/7分/カラー/デジタル上映
監督:乙部聖子
即興で立ち上がる、“手の跡”の
変容アニメーション
東京藝術大学在学中の1970年代前半から精力的に作品を発表していた実験映像作家・乙部聖子。音楽・アート集団「第五列」にも参加し、多面的に活動。福本健修とともに小冊子『personal effects』等も刊行していた。
TFOサイレント短編
『man』『Ephemera』
1970年/4分/カラー/デジタル上映
1970年/6分/カラー/デジタル上映
監督:岩田和雄
監督:MAJYOLICA
「私たちの文化は私自身の想像力の中に
見ることができる。」
70年代初頭の名古屋で「シアター36」を起点に結成された実験映画作家グループTFO(The Other Film Organization)から、岩田和雄とMAJYORICAのサイレント2作を特別上映。

