

【特集企画】
ヌーベルバーグ
「ヌーベルバーグ」と題したプログラムでは、
歴史的名作からのいくつかを上映する
「みんなのヌーベルバーグ」企画と、
「ある個人にとってのヌーベルバーグは常に登場する」
という映画の果てしない面白さをお伝えする
「私のヌーベルバーグ」の2つの企画で展開します。
みんなのヌーベルバーグ
女は女である
上映:9月7日(日)19:00~ 小ホール


女は女である
1961年/フランス/84分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウル・クタール/音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド
ジャン=クロード・ブリアリ

“カラフル”ってこれ!
アンナ・カリーナの魅力爆発!
子供が欲しいアンジェラはエミールに迫る。「歌わないミュージカル」を目指しルグランの音楽もズタズタに、の挑戦作。でも映画全体が歌ってる。ベルリンで銀熊賞と最優秀女優賞を受賞。が、タイトルはちょっとどう?
みんなのヌーベルバーグ
女と男のいる鋪道
4Kデジタル・リマスター版
上映:9月19日(金)13:45~ OZUホール


女と男のいる舗道 4Kデジタル・リマスター版
1962年/フランス/84分/モノクロ/デジタル上映
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
原案:マルセル・サコット判事、エドガー・アラン・ポー
撮影:ラウール・クタール
出演:アンナ・カリーナ、サディー・レボー、アンドレ・ラバルト

それでも私は生き、そして、死ぬ
女優を夢見て夫と別れ、娼婦となるナナの人生を12の風景で綴る。映画へのオマージュで溢れるゴダールの想いのたけをカリーナが見事に体現。その横顔が、夢と絶望、そして生きることの輪郭を静かに浮かび上がらせる。
みんなのヌーベルバーグ
大人は判ってくれない
4Kデジタル・リマスター版
上映:9月13日(土)18:45~ 小ホール


大人は判ってくれない 4Kデジタルリマスター版
1959年/フランス/99分/モノクロ/デジタル上映
監督・原案・脚本:フランソワ・トリュフォー
脚色:マルセル・ムーシー/撮影:アンリ・ドカ
出演:ジャン=ピエール・レオー、パトリック・オフェイ、アルベール・レミ

全てを語る素晴らしい
日本語タイトルのセンス!
いたずらをして叱られてばかりのアントワーヌは、学校をさぼっていたある日、母が恋人とキスしているのを目撃する。少年の孤独と大人への反発を鮮烈に描いた映画史に残る傑作。監督の半自伝的映画にして長編デビュー作。
みんなのヌーベルバーグ
セリーヌとジュリーは
舟でゆく
上映:9月14日(日)13:00~ 小ホール


セリーヌとジュリーは舟でゆく
1974年/フランス/193分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:ジャック・リヴェット
脚本:ジュリエット・ベルト、ドミニク・ラブリエ、
ビュル・オジエ、マリー=フランス・ビジェ
製作:バーベット・シュローダー
出演:ジュリエット・ベルト、ドミニク・ラブリエ、ビュル・オジエ

魔法の飴でパリをワンダーランドに!
映画作家を多数輩出した批評誌「カイエ・デュ・シネマ」2代目編集長リヴェットが、俳優たちと共に生み出すマジカルでワンダーな時空冒険譚。マジシャンのジュリーと司書のセリーヌが謎の屋敷で少女救出に奮闘する!

みんなのヌーベルバーグ
特別企画
松竹ヌーベルバーグ1960
上映:9月18日(木)13:00~ OZUホール
ろくでなし
1960年/日本/88分/モノクロ/35mmフィルム上映
監督・脚本:吉田喜重/撮影:成島東一郎
音楽:木下忠司
出演:津川雅彦、川津祐介、高千穗ひづる

硬質で冴えた言葉にしびれる
吉田監督27歳のデビュー作
ブルジョア息子を中心につるむ大学生4人が、経済格差と関係性に振り回され、予期せぬ破滅への道を辿っていく。モノクロのシャープな画面と、ハードボイルドなセリフの数々に感嘆する、記念すべき監督デビュー作。
青春残酷物語
1960年/日本/96分/カラー/35mmフィルム上映
監督・脚本:大島 渚/撮影:川又 昻
音楽:真鍋理一郎
出演:川津祐介、桑野みゆき、久我美子

ゴダールが「真のヌーヴェル・ヴァーグ監督」と
呼んだ28歳のヒット作
恋愛遊戯の果てに破滅していく無軌道な10代を容赦なく描き、大ヒットを記録した大島渚2作目の監督作品。続く第3作『太陽の墓場』でも、かつて誰もみたことのない激しさで、リアルな生と性をスクリーンに活写した。
乾いた湖
1960年/日本/87分/カラー/35mmフィルム上映
監督:篠田正浩/原作:棒葉英治/脚色:寺山修司
出演:三上真一郎、岩下志麻、炎 加世子
映画に現在を取り込む
意欲的な監督29歳の第2作
テロリストを気取りながら部屋に独裁者の写真を貼り巡らす複雑な学生を軸に、安保の時代の浮遊する価値観を、寺山修司(出演も!)、和田誠、武満徹ら先鋭的クリエイターと共に具現化。岩下志麻主演デビュー作。

みんなのヌーベルバーグ
イタリア旅行
上映:9月19日(金)11:30~ OZUホール
イタリア旅行
1954年/イタリア/83分/モノクロ/デジタル上映
監督・脚本:ロベルト・ロッセリーニ
脚本:ヴィタリアーノ・ブランカーティ/製作:マリオ・デル・パパ
出演:イングリッド・バーグマン、ジョージ・サンダース、マリア・モーバン

ハリウッドスターが
キャリアを捨てて飛び込んだ傑作
ネオリアリスモの巨匠が冷え切った夫婦の心の機微を描いた映画史に残る名作。日常を細部まで描くリアリズムや斬新なストーリーテリング、即興的な演出やロケ撮影など、その後のヌーベルバーグの作家たちに大きな影響を与えた。
仲野太賀(俳優)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月6日(土)12:00~ 小ホール


リアリズムの宿
2003年/日本/83分/カラー/35mmフィルム上映
監督・脚本:山下敦弘/脚本:向井康介/撮影:近藤龍人
出演:長塚圭史、山本浩司、尾野真千子

どうしようもない旅が
奇跡の旅にかわるマジック
駆け出しの映画監督と脚本家、木下と坪井は、親しくもないのに温泉旅行に行くはめに。鳥取の寒い海を眺めていた2人は、風変わりな女・敦子と出会う。つげ義春漫画を原作とした、奇妙でせつないロードムービー。
山下敦弘(映画監督)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月6日(土)14:30〜 小ホール
ゲスト:山下敦弘監督予定


真夜中の虹
1988年/フィンランド/73分/カラー/デジタル上映
監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:トゥロ・パラヤ、スサンナ・ハーヴィスト、マッティ・ペロンパー、エートゥ・ヒルカモ

名前は「Ariel」。南へと向かう
北の鉱山が閉鎖され、鉱夫親子の父は息子へ形見にキャデラックを譲り、息子は南へと向かうが、有り金すべて奪われ、ろくな捜査もなく投獄され、相次ぐ不運は止まらない。だが、そこはカウリスマキ!残るのは、愛。
山中瑶子(映画監督)と
吉田大八(映画監督)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月13日(土)15:00~ OZUホール
ゲスト:山中瑶子監督、吉田大八監督予定


山中監督セレクト
人魚伝説
1984年/日本/109分/カラー/35mmフィルム上映
監督:池田敏春/脚本:西岡琢也/原作:宮谷一彦
出演:白都真理、江藤 潤、清水健太郎

原発誘致を巡る陰謀で
夫を殺された女の壮絶な復讐!
すさまじい執念で、夫を殺した権力に立ち向かう海女。凄惨なシーンのあとに、ヒロインが真っ青な海を泳ぐラストが美しい。新進の監督たちが設立したディレクターズ・カンパニーの第一回作品。根岸吉太郎監督がプロデュース。
吉田監督セレクト
爆裂都市 BURST CITY
1982年/日本/116分/カラー/35mmフィルム上映
監督・脚本:石井聰亙(岳龍)
脚本:秋田光彦/撮影:笠松則通
出演:陣内孝則、町田町蔵、泉谷しげる

不可能を可能にする
石井聰亙監督のパワーを体感
狂気と混沌が渦巻く近未来都市を舞台に、ロックバンドの過激なライブで武装警察との衝突が勃発する一方、原発建設のための強制退去に抵抗するスラムの壮絶なバトルが繰り広げられる。全画面に疾走感満載のド迫力は必見!
大島依提亜 (グラフィックデザイナー)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月14日(日)17:30~ 小ホール
ゲスト:大島依提亜氏予定


ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
2019年/アメリカ/120分/カラー/デジタル上映
監督・脚本・原案:ジョー・タルボット
製作:カリア・ニール
出演:ジミーフェイルズ、ジョナサン・メジャース、ダニー・グローヴァ―

変わりゆく街
変わらない友情と切ない郷愁
幼い頃、開発のために住んでいた美しい邸宅を追い出されたジミーは、親友と共に家を取り戻そうと夢見る。監督が幼馴染でもある主演俳優の経験を基に脚本を書いたデビュー作。ノスタルジックで詩的な映像が心に残る。
李相日(映画監督)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月17日(水)11:30~ OZUホール


さらば、わが愛/覇王別姫 4K
1993年/中国、香港、台湾/172分/カラー/デジタル上映
監督・脚本:陳 凱歌(チェン・カイコー)
原作・脚本:李 碧華(リー・ピクワー)
出演:張 國榮(レスリー・チャン)、鞏 俐(コン・リー)
張 豊毅(チャン・フォンイー)

カンヌのパルムドールに輝く
「芸道映画」の傑作
京劇の俳優養成所で過酷な稽古と折檻に耐える幼い小豆と、彼を慕う石頭は、やがて京劇界のスターとなる。壮麗な映像美で激動の近代中国50年を描いた本作で、チェン・カイコー監督の国際的評価が確立した。
復讐するは我にあり
1979年/日本/140分/カラー/35mmフィルム上映
監督:今村昌平/脚本:馬場 当、池端俊策
撮影:姫田真佐久/音楽:池辺晋一郎
出演:緒形 拳、三國連太郎、ミヤコ蝶々、倍賞美津子、小川真由美

キネマ旬報ベストテン第1位に輝く謎の男の物語
多くの監督が映画化を競ったという、連続殺人犯の複雑な人間像を追う佐木隆三の同名直木賞受賞作を、今村昌平が濃厚に映画化。「微笑みながら殺人を繰り返す」男の軌跡が、名優たちの競演によって浮かび上がる。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月17日(水)18:30~ OZUホール
ゲスト:ピーター・バラカン氏予定


ストレンジャー・ザン・パラダイス
1984年/アメリカ/89分/モノクロ/デジタル上映
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
製作総指揮:オットー・グロッケンバーガー
製作:サラ・ドライヴァー
出演:ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン

一世を風靡した
ジャームッシュワールドの始まり
ハンガリー出身のウィリーと従妹のエヴァ、友人エディの3人組が織り成すオフビートなロードムービー。何も起こらない日常を、ざらついたモノクロフィルムで淡々と描く、独特のゆるい作風が世界を驚かせた監督2作目。
秦早穂子(エッセイスト)が選ぶ
わたしのヌーべルバーグ
上映:9月18日(木)19:00~ OZUホール


陸軍
1944年/日本/87分/モノクロ/35mmフィルム上映
監督:木下惠介/原作: 火野葦平/脚色: 池田忠雄
出演:田中絹代、笠 智衆、杉村春子

不動の愛を描く木下恵介の勇気が
わたしたちを覚醒させる
幕末から太平洋戦争へと至る近代日本の歴史を背景に描くある一家3代の物語。戦時下に作られた国策映画ながら、出征する息子を必死に追う母親の姿を長回しで見せたラストシーンは、映画史に残る名場面となった。

