「月の砂漠」
「月の砂漠」写真
上映:7月3日(水) 16:00〜 ホールD
監督来場予定
手に入れたもの。そして、こぼれ落ちたもの…。
「ユリイカ」で現代家族の崩壊を外側から描いた青山真治監督が、最新作「月の砂漠」では内側の視点から崩れゆく家族の姿を描く。
ネットバブルの波に乗り、ビジネスマンとして頂点へ登りつめる永井だが、成功者としての影にはグローバル市場への誤算と最愛の妻子や仲間を失っていく孤独な中年男の姿が隠れている。バーチャル・リアリティの世界にのめり込むほど希薄になる現実社会のリアリティと人間関係。それが生むものとは…?

高校時代バンドを組んでいた青山監督のこだわりが伺い知れる音楽。是非、注意して聞いて欲しいのがオープニングとエンディングテーマの歌詞たち。オープニングに流れるビーチボーイズの「Caroline, No」は大切なモノを失っていく永井の心情を表現し、自立しようと家を出る女性を唄った「Captain Saint Lucifer」は永井の妻と娘へ捧げるようにエンディングを飾る。 カメラマンは、これまでにも青山真治監督とコラボレーションを組み、河瀬直美監督、黒沢清監督、諏訪敦彦監督等、日本映画界の若手監督たちの作品を数多く手掛ける田村正毅。本作では「ユリイカ」とは違う孤立した時の流れを写しだし、その手腕がますます光っている。

(2001年/131分/35ミリ)
監 督:青山真治
出 演:三上博史、とよた真帆、柏原収史、碇 由貴子 ほか

2001年 カンヌ国際映画祭

青山真治監督プロフィール
青山真治監督写真1964年 福岡県北九州市生まれ
1984年、立教大学在学中、映画研究会に所属し、8ミリ映画を量産。大学卒業後、助監督、批評家を経て、1995年にオリジナルビデオ「教科書がないツ!」を初監督。1996年、WOWOWのJ・MOVIE・WARS・3の1本「Helpless」がデビュー作として公開される。2000年、「ユリイカ」がカンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をダブル受賞する。