全体的にプロっぽくて、技術的にも優れている作品が多かった。こうやったらうけるというのもよくわかっていると思います。みんな、うまい。 そんな中で今回評価したいと思ったのは、こちらの意表をつくような何かを感じさせてくれる作品です。 たとえば、グランプリを受賞した菱沼康介監督の「つづく」の役者たちの演技のおもしろさ。"素人の役者"というのを生かしている。あんな芝居は今の自分にとってもうあこがれの域に達しています。せりふは脚本があったのか、なかったのか? あったらすごいし、なかったとしてもすごい! 村田朋泰監督の「睡蓮の人」。明かりが凝っていて驚き!の作品なんですけど、何と言っても、おっちゃん主役のあの雰囲気がいい。設定にやられました。 あんまり綺麗じゃない(設定上では、という意味です)女の子をあんな風に踊らせたのが秀逸!植松淳監督の「ファロウーずっと一緒にー」。出演者の魅力は圧倒的だったと思います。 玉野真一監督の「よっちゃんロシア・残りもの」。やりたいことをやりきった爆発感。他の作品も観てみたいし、特に「次、どんな作品つくるんやろ」そんな期待感を一番感じました。 それから、北澤康幸監督の「カジラレ島のふたつの灯台」。効果音や背景の描き方とか今までに見たことのない雰囲気を出しているのもいいし、ストーリーもOK。もう、大好きな作品です。ラストの温泉がいいんだ。ぐっときました。 最後に、これから映画を撮ろうとしている人たちに。映画をつくる上で何よりも大切なのは、脚本です。自分自身、いつも100点満点の台本だと思って撮影に入っている。脚本に100%の自信がない時はまだ作らない方がいいと思います。(談)