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PFFディレクターBLOGRSS

2013/12/31 16:49:49

2013年を振り返ってみると宮沢賢治があそこにここに

2013年は、初体験をできるだけと思いつつ、意外に達成できていなかったかもと、今、ふと思っています。
35回となる東京で、初めて渋谷、シネクイントを会場に開催したことや「特撮」に焦点を当てた企画を行ったこと、名古屋開催で初めての「PFFアワードノンストップ上映+寝転んで鑑賞もOK」、を実施してみたこと、などなど思い出しながら、やはりどこか日々の仕事に追われて走り続けるだけで精いっぱいだったのではないか?という感触も・・・
ちょっと整理して、2014年はどんどん自由な試みをやってみたいと想う年末です。

個人的には、キネマ旬報の★とり参加は、色々な学びがありました。
自分で選ぶのではなく、課題のように毎回渡される担当映画リスト。「みなくてはならない」というこの"仕事感"は、なかなかない体験。
自分の仕事では、PFFアワード応募作品を観ることと、招待する監督作品を網羅することは、当然みなければならない映画となりますが、「劇場公開作品」をみることでそんな体験をする日が来るとは予想してませんでした。

また、仕事柄、映画祭で映画をみる体験は人より多く重ねている気がしますが、試写室で公開映画をみる体験は殆どない私。
更に「洋画」の試写は大変縁遠い世界ですので(★をつけるという責務をはずせば)これはとても大きな発見と学びの宝庫でした。
映画祭と映画配給(=劇場公開映画を扱う仕事)、の温度差というか、基準の差も、体感できる貴重な時間、乱暴に言えば、それぞれ別世界となっているのが(予想はしておりましたが)実感できました。

同時に、「観てすぐは、どんな映画も面白い!」ということを確認することができたのも、よかった。
数か月経って心に残る映画、人にすすめたい映画は意外に少ないと知るのですが、あらゆる映画が観るとどこかしら心動かす瞬間がある。
同時に、感じたことを即伝える宣伝と、じっくり熟成されたものを評論として提示する宣伝と、2つの道があるほうがいいこともしみじみ思います。
特に求められるのは、時間をかけて評論する場所でしょうか?

実は私たちもPFFスカラシップで制作した映画を劇場公開する大きな仕事があります。
その方法についても考えることの多い、この新しい体験でした。
といってもまだ暫くは続きます。一年でおよそ80作品を強制的にみるという、自分では一生みないかもしれなかった作品をみることのできる貴重な日々。数年後には楽しい思い出、でも今は、必死にこなしている仕事です。

物凄い量の映画が公開されている日本。
多くの人が映画に携わっている、映画で食べている。そしてそれは、配給も宣伝も劇場も媒体も観客も、どの場所でもとても忙しい、追われている毎日であることを、肌で感じる、いささか悩みでもある体験のひとつでもあります。

あら、タイトルの宮沢賢治の話題から遠のいている・・・
昨年のPFFアワードグランプリ作品『くじらのまち』。現在も国内外の映画祭で招待の続く人気作品ですが、上映に立ち会うことで劇中で唄われる「星めぐりの歌」を何度も聞きました。
宮沢賢治作詞作曲です。

あかいめだまの さそり
ひろげたわしの つばさ
あをいめだまの こいぬ
ひかりのへびの とぐろ
オリオンは高く うたひ
つゆとしもを おとす

アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち
大ぐまのあしを きたに
いつつのばした ところ
小熊のひたひの うへは
そらのめぐりの めあて

この歌の影響で、名古屋でのPFF開催空き時間には名古屋市科学館に駆けつけ、プラネタリウム体験しました。
*余談ですが、この「名古屋市科学館」素晴らしいです!プラネタリウムの見事さも勿論ですが、体験アトラクションも感激!「明治村」と並ぶ名古屋の逃してはならない場所です!是非!*

その後、「あまちゃん」の中で何度もこのメロディーを耳にし、
先日、テレビマンユニオン45周年プロジェクトで行われた今野勉の「勉塾」-第二期ー『<撃つ>と<耕す>』でも「あまちゃんを考える」というテーマでこの歌が取りあげられて驚きました。
正月の宮沢賢治の旅。その駅に「種市」があることも含め宮沢賢治とあのTVドラマとの関連についてです。

同時に、やっとコミックスで読んだ「重版出来!」に、殆ど国民的なこの詩が全文登場してびっくり!
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
(続きは是非、お手許の賢治の著書やこの漫画でお読みください。「一日5合の玄米」というところで、昔の人は米をたくさん食べたなあとといつも感心する私であります・・・)

そして、またまた同時に齋藤久志監督の新作『なにもこわいことはない』では、「ひかりの素足」が重要なモチーフに!
・・・・と驚きの宮沢賢治3段重ねの秋でした。
私で3度の体験ということは、世間では更に宮沢賢治が語られているのか?と、思わず法華経についての本を買ってみたりしたのでした。
宮沢賢治と2013年。何かあるかも?

さて、2014年のPFF活動ももう始まっています。
「PFFアワード」の公募は3月25日が締切です。
是非、映画ができたらPFFへ。
そして、春から所沢、新宿、福岡(こちらは第35回PFFです)と、9月の東京での第36回PFFまでイヴェントが続きます。秋と冬は、名古屋、京都、神戸と巡回です。
海外の映画祭含め、旅の毎日は2014年も続きそうです。

個人的には、来年の楽しみは『スノーピアサー』
ティルダ・スウィントン(出演者ですが)激賞というニュースからして心躍りましたが(単なるファンですが)
ワインシュタインとの権利裁判にも勝てそうだという話を聞き、更に更にポン・ジュノ監督とこの映画にエールを送りたい!!
(*ご存じない方のために、『スノーピアサー』は全米及び英語圏公開に向けてプロデューサーバージョンがつくられた。「全く教育のないアメリカの片田舎の住人にもわかりやすく」という理由のバージョン。勿論オリジナル版での公開を目指す監督は、孤立無援の中、力を貸してくれそうな世界の映画人に相談し、オリジナルヴァージョンでの評論を真っ先にNYタムズに掲載=勿論激賞の名評論。同時にパリでそのヴァージョンで公開し、大ヒットを記録。現在、英語圏での権利を自分の手に取り戻すべく格闘中)
自分の望むものを知り、それを手に入れる暴力的でなく、知的な方法を使う、そんな仕事はほんとうに勇気を与えてくれるなあと、しみじみしながら新年を迎えたいと思います。

よいお年をお迎えください。


プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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